３１、その日 ページ13
その日はやってきた。
LT「ワールドツアー初日公演を無事に迎えることができました〜！」
開演まで30分。
緊張と興奮が混ざった、ある意味異様な空気の中、
舞台下ではジョンスが大きな声を出す。
私は少し離れた場所にいるウニョクさん、チラリと見る。
彼は緊張した面持ちを浮かべていた。
LT「そしてA監督、初めての
監督としてのステージです！おめでとう！そして、ありがとう！」
ヒュー、と私へ上がる歓声。
ウニョクさんはチラっと一瞬、私を見たけど
その目はすぐに逸らされてしまった。
彼とは結局、何も話せていないままだった。
この３日間ずっとすれ違っていたというのもあったし
本当に忙しくて時間がなかったというのもあるけど…
本当は、私は彼との接触を避けていた。
これ以上、離れていくのを感じたくなかったから。
このまま初日公演を迎えることに不安がなかったわけじゃないけど
この３日間、順調に、そして最高のコンディションで進んだリハに
彼と打ち合わせをしたり
ステージ修正をすることも必要なかったから。
このままでは近くなった距離も離れたままだとわかっていても
怖くて何もできない自分がいる。
だけど今は、目の前の事に集中しよう。
ワールドツアー初日は今後続いていくツアーの為にも
最も大切な日になるから。
成功させると同時に、今後の修正点や改善点もどんどん見つけていかなきゃいけない。
私達の舞台仕事は、まだまだこれから。
目を閉じて、自分の緊張を落ち着かせるように
深く深呼吸をする。
LT「監督、一言お願いします！」
ジョンスの声に、閉じていた目をあける。
すると、手をつないだメンバーやダンサーさん達。
それを取り囲むスタッフ達全員が、緊張した面持ちで
私の言葉を待っていた。
私自身にとっても、初めての立場での仕事。
なかなか言葉が出てこない私にメンバー達がニヤニヤと笑いだす。
そんな中、ウニョクさんだけは黙って
ジっと私を見据えるようにしていた。
そんな彼を見つめて、私は口を開く。
「…私はいつも皆さんを信じています。
怪我と事故のないように。以上です！」
言葉を交わすこともなくなってしまったけど。
ウニョクさんは、きっと素晴らしいステージを創る。
今は変な事を考えるのは、やめよう。
HC「それだけかよ！お前らしいな(笑)！」
オッパの突っ込みで笑いが起こる。
そして、そんな私を見てウニョクさんが小さく笑ったから。
なんだか少し、安心した。
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りこ(プロフ) - あーねさん コメ有難うございます！今月中に完結させたいと思ってますので！いつもありがとうございます、これからもどうぞよろしくです（＾＾） (2015年7月16日 13時) (
レス) id: 80f0c9f8dc (このIDを非表示/違反報告)
あーね - いつも楽しみにしています！たくさん更新してください！まってます！ヤキモチとか三角関係とか好きなので。。。笑楽しみにしてます！ (2015年7月11日 19時) (レス) id: 292f4be92e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りこ | 作成日時：2015年7月7日 15時
