２７、薔薇色の狂気 −ＥＨ− ページ1
先程までAさんが腰かけていたベンチに座ったヒョンは
遠い記憶を思い出すような、懐かしい目をしていた。
その瞳に映るものが何なのか…。
俺はヒョンを見ながら、ぼんやりとそんな事を思っていた。
「僕がまだ小学生低学年の時、
隣の家にA家族が引っ越してきたんだ。」
Aさんは、ヒョン曰く子供らしくない子供だったらしい。
小さい頃から海外に住んでいたAさんは
韓国人の感覚とは全く違う子供だったらしく
すごく行動的で思った事を何でも言う子だったらしい。
今の姿からも想像がつく幼少時代に
ちょっと、その頃の彼女を見てみたいと思った。
「でも小さい頃から身体が弱くて
一度、僕と遊んでいた時に意識を失ったことがある。
僕もあの時はまだ小学生だったから…怖くて。
あの時感じた恐怖は、今でも忘れない…未だに怖いよ。
目の前で、人が元気じゃなくなるその瞬間を見たからね。」
その日からヒョンは
Aさんにも弱い部分があるんだと、小さいながらに思ったらしい。
「Aって…僕達が知ってる女性とは少し違うでしょ。
昔から美人で頭も良くて運動だって出来て。誰もが羨みそうな人気者なのに
Aの周りにはいつも人がいなかった。
感覚がさ、韓国人とは全く違ってて自由人だから
周りにはうまく馴染めなかったんだよ。
だから友達もあまりいなくて、いつも僕と居た。
だからこそ、例の日から僕がAを守らなきゃって思ってた。
Aの弱いところを知っているのは、僕だけだったから。」
考えたこともない、Aさんの過去の姿。
Aさんも頼れる人が、いなかったんだろう。
「運動だって、やればできたけど
身体が弱いから…進んで外に出る子じゃなかったんだよ、あいつ。
家でいつも、ビデオとか、舞台の映像とか見てた。
それもあるからなのかな…Aは舞台監督になりたかったみたい。
それでね、海外の大学に進学して
戻って来てからはこっちでフリーとして
いろんな経験積んだんだ。音響、美術、照明…いろんな仕事。
でもこの仕事って…すごいハードでしょ？
だからA、何度も倒れてる。
何度も危ない状況になってるんだけど
生命力の強い奴なんだな…今、こうして僕達の前にいる。」
大人になってからも
ヒョンは彼女と食事をしている時に、Aさんが
倒れて運ばれた場面に遭遇したらしい。
その時小さい頃の記憶を思い出して
どうしようもない不安に駆られたんだ、と。
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りこ(プロフ) - あーねさん コメ有難うございます！今月中に完結させたいと思ってますので！いつもありがとうございます、これからもどうぞよろしくです（＾＾） (2015年7月16日 13時) (
レス) id: 80f0c9f8dc (このIDを非表示/違反報告)
あーね - いつも楽しみにしています！たくさん更新してください！まってます！ヤキモチとか三角関係とか好きなので。。。笑楽しみにしてます！ (2015年7月11日 19時) (レス) id: 292f4be92e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りこ | 作成日時：2015年7月7日 15時
