君に溺れた恋物語2〜K.Otomo〜

#82 ページ34

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『なあ、A…』








夏芽が東京に行って数日後。







「なに？」




『あの、さ……』




あからさまにに気まずそうにしないでよ。









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「夏芽、行っちゃったね。」




『そうやな。』




「寂しい？」




『そりゃ、寂しいに決まっちょるやろ。』






「ま、付き合ってたんだしそうだよね。」





『お前だって親友やろ？』




「でも、夏芽なら絶対大丈夫って信じてるから。」



『そっか、そうやな。

あいつなら絶対大丈夫じゃろ。』









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『俺は結局コウには勝てないんやな』





……違うよ。

夏芽は、かーくんの優しさに支えられてたよ。








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「私だって、夏芽には勝てない。」





『似たもの同士やな』







切なそうに笑うその横顔は、

夏芽を想うその横顔は、





私の心を溶かしていった。







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「ね、夏芽のこと吹っ切れたの…？」









『あーーーそれ聞く？』




「……ま、そう簡単に諦められないよね。」




『まだなんも言っちょらんわ。』




「分かるよ、かーくんが考えてることくらい。」





自然と呼び方も戻った。





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『俺さ、もっとAんこと知りたいわ。』






「え、」




『Aはさ、いっつも他の人優先しちょって…
もっと自分を大事にしんさい。』









「なにそれ、」







……もっと好きになるじゃん。

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