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その日の明け方だった。
物音がして目を覚ますと、隣にいるはずのAの姿がない。
さ「…A?」
焦って2階に上がると、バルコニーに人影が見えた。
『起こしちゃった?』
まだ薄暗い中、ビニル袋を片手に持ってビーチチェアに座った彼女が振り向く。
隣に座って手を握ると、骨と皮しかなという言葉しかあてられないほど痩せてしまっている。
それを再認識させられる。
『もう…大丈夫だよ。』
「なにが大丈夫だよ…。
絶対大丈夫じゃないだろ…。
怖くないのか?!
しn…んだぞ…?」
『怖くないわけないじゃん!』
震えながら叫ぶ。
その声で目を覚ましたのか、続々とメンバーが集まってくる。
『…怖いよ。だってもう二度とみんなに会えなくなるんだよ…?
…でもね、みんなのうちの誰かが居なくなって、私が遺されるのはもっと辛い。』
さ「自分勝手。
それがわかるなら俺の気持ちが分かるんじゃない?
俺だって辛いんだよ。俺がその遺される側なんだよ。わかる?」
『それじゃあ代わってくれるの?
毎日毎日お腹と喉を痛めて、血も出るしほんとに痛いし辛いんだよ。それでも代わってくれるって言うの?!』
さ「代わるよ!代われるもんなら代わってた。
俺ならお前に辛いところを見せずにもっと上手くやるはずだけどね。」
『…!そんなこと、…私だって…っ!』
な「はい、そこまで。」
言いすぎた。
謝らないと。
そう思った。
でもその言葉より先に、体が動いてしまう。
俺は咄嗟に自分の部屋に入った。
すぐには動けない彼女を置いて
彼女の目から大粒の涙を零させて。
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作者名:sky | 作成日時:2019年11月7日 21時