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床暖房を入れてAを後ろから抱きしめるようにして、上から毛布で僕ごと包む。





こ「足冷たっ、ちゃんとあったかくして寝てよ」



『冷え性だからどうしようもないの。』






抱きしめて初めて、以前より格段に痩せているのがわかる。

肩や背中は骨ばって、手首なんか折れそうだ。





時折背中が震えて、鼻をすする音が聞こえてくる。






こ「…こっち向いて。」




体の向きを変え、向かい合うようにして抱きしめる。

ついでに指を絡ませた手を握り直す。







こ「明日早いんだから。寝よ?」





そう言ってさっきからずっと背中を撫でてはいるものの、Aの脈がなかなか安定しない。





こ「…耳、僕の胸に当てて。心臓の音だけ聞いてればいいから。」





片耳を僕の左胸に当て、もう片方の耳は手で軽く抑える。






Aは耳がいいから、小さな音でも拾ってしまう。
多分、2階で寝てるみんなの音とかも聞こえてるんじゃないかな。それが逆に眠りに付けない理由になっているのだと思う。




人間の心臓の音は一定で周波数も自然なものだから、絶対音感を持っている耳の良い人でもずっと聞いていると安心すると聞いたことがある。





案の定、5分もせずに寝息が聞こえてきた。





僕もそろそろ寝るか。




水を飲むつもりで下に降りたけど、もういいや。





おやすみ、A。

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作者名:sky | 作成日時:2019年11月7日 21時

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