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さとみサイド
「ねぇ、昨日のテレビ見たー？」
「あはは、それやばいじゃんっ！」
・・・うるさい。
いつからだろう。朝のざわめきすらもうるさく感じるようになったのは。
"君"といれば、どんなことも楽しかったはずなのに。
虚しい・・・・。
そんなことを考え、机にふせて学校生活を送るようになって二ヶ月が経つ。
人の噂も七十五日、というが俺の耳にはまだ、とある噂が飛び込んでくる。
「・・・・ね、あそこで寝てるさとみくん。隣のクラスの亡くなった子、彼女だってよ。」
「えー！そうなの？私、さとみくんと関わりなかったから、初耳！」
地味にこっちをチラチラ見てくるところがうざい。
俺の彼女、佐倉Aは二ヶ月前、交通事故で天に行った。
引いた運転手も、死んでほしいと思った。
まだ１６だったのに。
俺は、彼女を心から愛していたのに。
早く忘れてしまいたが、愛していたからこそ忘れられない。
しかも、俺とAが付き合ってたことを知る人は、意外と少なく。
女子の複数あるグループに、順を追って噂が飛び込むため、俺はほぼ毎日、さっきみたいに
"亡くなったんだよ"と聞かされる。
お前らはな、分かってないんだ。
そう簡単に亡くなった、なんて言わないでほしい。
Aの命は、そこら辺の人よりも思いに決まってる。
ちょっと顔を上げると、二ヶ月前まで仲良くしていたころんと目があった。
フッと目をそらされる。
そりゃそうだよな。あれからまともに話してねぇし。
もう一度机に顔をふせる。
朝のざわめきが、より一層酷くなる。
神様、Aが何をしたって言うんですか。
せめて、俺にしてほしかった。
将来は小説家になるっ！って言って、意気込んでたのに。
あの時、デートの帰りで「また明日っ！」って言ったのに。
目の前ではねられ、即死。
頭からじわじわ出てくる赤黒い血が怖かった。
血を見るとやっぱり光景が頭に蘇る。
ピクリとも動かなかった体。
うつぶせだったから、最後に顔を見たのが葬式場なんて嫌な思い出だ。
いつもピンク色だった頬は白くて、手は冷たくて。
「亡くなっている」と額に判子を押された気がした。
咄嗟にかばえなかった自分が憎い。
神様、何でもします。
お願いだから、彼女を蘇らせてくれ・・・。
そんな突拍子もないことを思った時。
なぜか不意に、脳裏にAの笑顔が映ったんだ。
しかも、口を動かしている。
え？と思ったときにはもう・・・。
目の前が暗くなっていた。
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作者名：点P撲滅隊リーダー兼隊長兼事の発端者。 | 作者ホームページ：なっしんぐぅ
作成日時：2022年8月7日 22時
