はるとたく。(( 彼女の悪いところは何一つ悪くない 編 ))

( 大きくなったな、 ) ページ43

( 大きくなったな、 )
西川 side



「にしかわさん、


落とされましたよ？」


聞き覚えのあるような、そんな声に、ぱ、と振り返って


バッティンググローブを受け取る。


「すみません、ありがとうございます、」


目を合わそうと、拾ってくれた人の顔を見ると、



「え、」



「ご無沙汰しています、Aです。」



「え、」



「、あれ、はるくんと結構仲良しだと思ってたのにな〜」



「Aちゃん、なんで、」




「私、夢叶えましたよ。


タイガースの管理栄養士さんになりました、」


へへ、と笑う彼女は何も変わってなくて、


「っ、」

思わずぎゅう、と抱きしめた。


「ふふ、はるくんどうされました？」


慣れたような自然な敬語に、この子も社会人になったんや、と

なんか、お兄ちゃんのような気分。


「……大きくなったなぁ、」


「…はるくん、身長は変わってないんだよ笑」


「……知ってる、笑


髪もこんなに伸びて、なんか、お姉さんって感じやな、」



「も〜、はるくん私のこと子供扱いしてるでしょ、」



「ええっ？！」



うわ、剛さんや


「え、Aっ、遥輝と何してるんっ、」


オタオタとする剛さんを見てAが、


「感動のはぐですけど、」


「ま、まさかっ、遥輝があのっ！」



「いや、俺じゃないっす笑

俺も剛さん側っすよ笑」



「……じゃあ、なんだ、

ほんまの感動の再会ってこと、」



がっかりしたような、安心したような表情を浮かべる。


「そうですよ〜、3年ぶりに、
お会いしたものですから〜」

愛しの妹です、と隣で笑うAは前にも増してかわいい。


ほんま、綺麗なったなぁ、


昔は、弱いくせに強がって、

泣き虫のくせに無理して笑って、その笑顔が儚くて、


でも、今は


強く、なったんやなって感じさせる。


笑顔は何も変わらないのに、

凛としていて前にも増して綺麗だ。



「剛さん、Aのこと、頼みますね、」


「も、はるくん、もう泣き虫の私じゃないんだよ！

強くなったんだから、みんなみたいに、」


知ってるで、

どれだけ、俺らがお前のこと守りたいと思ったと思ってんねん、


「おう、任せてや笑」

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