【新テニ】立海の転校生はU-17のNO.0 second

第51話　 ページ25

sideA

　目の前の光景にAは思わず目を疑う。
　絶対に負けることのない絶対的な優位に立っていると思われた種子島が相手の球の威力に耐え切れずに後方に吹っ飛ばされたのだ。
　屋外のコートと違って幸いなことに壁に激突することはなかったものの、床にたたきつけられられた際に右腕を強打したのか、立ち上がった種子島は明らかに右腕を気にするようなそぶりを見せていた。

『修兄が……修兄が……』

　入江の腕にしがみつく。
　テニスプレーヤーにとって腕の怪我はかなりの痛手だ。
　酷ければ数カ月はテニスができなくなってしまうこともないわけではない。

《入江》「大丈夫だよ、A。きっと大した怪我じゃない……けど……」

『けど？』

　入江はそう言うと、背後から腕を伸ばし私の両目を塞いだ。

『何で隠すの？ 見えないじゃん』

　何も答えない。
　ラケットが球にあたる音が途切れると同時に、うめき声のようなものが聞こえてくる。
　いやな予感がする。
　種子島が勝っていたのは相手が手加減をしていたのか？
　あんなに余裕で勝っているように見えたのに。
　何故。
　何故。
　何故。

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