【立海】マネージャー拾いました。 ＋１＋

20 小悪魔 ページ20

「部屋の中って、まさか…」

ブン太くんが眉をひそめる。
……ごめん、そのまさかだ。

「カードキー、部屋の中に置いてきちゃった…」

転校初日から遅刻するワケにはいかないから、今日の朝は急いでて…

扉はオートロックで、家の中にはもちろん誰もいない。

何やってんだろ、もう…


「はぁっ！？バカなことするな、お前も」

ブン太くんがため息をついた。

「どうしようブン太くん…！」

思わず泣きそうになる。

とりあえず今日を乗り越えたら、明日は珍しくお父さんかお母さんが帰ってくるハズ。

……しょうがない、今日は覚悟を決めて…！


「泊まりに来るか？俺ん家」

「えっ？」

「どうせAのことだから、今日は野宿！とか考えてたんだろぃ？」

それは…その通りだけど。

さすがにこんないきなりじゃ、家族の皆さんにも迷惑かけちゃうし。

「ありがとう、ブン太くん。でも…」

「今日、家の奴らみんないなくてよぉ…調度よかったぜ。

どうせ行くところもないんだろぃ？泊まってけよ」

ブン太くんが本当に好意でそう言ってくれてるのはわかる。

その相手が、今日初めて会ったばかりの女の子に対してでも。

ブンくんは、ホントはすごく優しくて心配性。


「……いいの？ホントに」

「あぁ。俺も寂しいし…だから、な？」

ブン太くんはそう言って、少し困ったように笑った。

「じゃあ今日１日だけ、よろしくお願いします…！」

「おぅ！じゃ、俺ん家こっち」

ブンくんはそう指さすと、今度は私の隣をゆっくりと歩き出す。


「……Aって流されやすいな」

「……ッ…！？」

さっきの“寂しい”は何だったの…！？

この小悪魔…！！

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