【立海】マネージャー拾いました。 ＋１＋

15 険悪ムード ページ15

“この部を頼みたいんだ“

そう言った幸村さんは、真っすぐに私を見つめた。


「……どういうことだ、幸村」

私がよりも先に、副部長が少し怪訝そうな顔で幸村さんに尋ねる。

「やはり俺にはこの部を任せきれないということか」

「おい真田っ…」


いきなり険悪ムード。

本当に…

幸村さんは何考えてるかわからない。

「真田に不満があるわけじゃないよ。ただ…

あぁ、そうだ。ブン太、ちょっとお菓子が食べたくなってきたな」

幸村さんは急にブン太くんに話し掛けた。

い、今の流れでお菓子…？

「お、おう…！今買ってくるぜ！」

「ありがとう。それから柳生、この花の水、交換してきてくれない？」

「えぇ、もちろん。構いませんよ」

「うん。あぁ、赤也。いつも俺が読んでる雑誌、お願いできる？」

「わ、わかったっス！」

幸村さんの指示で、１人、また１人と病室からみんなが出ていく。

……これも幸村さんの考えあってのことなのかな？


「それから仁王。悪いんだけど、受付に俺の荷物が届いてるはずだから取ってきてくれる？

重い荷物だから、真田も一緒に…お願いできるかな？」

「わかったぜよ」

仁王くんはそう言って、あくびをしながら病室を出て行ったけれど、

副部長は一瞬幸村さんを見て、黙ったまま仁王くんに着いて行った。


病室に残ったのは、私と幸村さんだけ。

「あの…幸村さん？」

「“幸村さん”だなんて、他人行儀な言い方はやめてよ。それから敬語もナシ。

精市、でいいからね？俺もAって呼ぶ」

「精市…くん」

私がそうつぶやくと、精市くんが満足そうに頷いた。

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