卍月見酒卍 ページ25
夕食も終わり寝るまでの時間を思い思いに過ごしている頃、すっかりと落ち着く場所となった縁側へと歩みを進めた紅葉
二人は置いてきた、そろそろ兄弟離れも必要だと思ったのだ…血はつながっていないが
暗闇が辺りを包む、さすがにこの時間は誰もいないようだった
腰を下ろしぼんやりと闇を見つめて過ごす、ここで体験したことが頭を駆け抜けていった
本丸に来てまだ日は浅いが今まで生きてきた中でも色濃い方であることは確かだった
鶴「お、やっぱりここか」
三「お前は昔から空を見るのが好きだな」
食卓間の方角から二つの声が聞こえる、月明かりに照らされて現れたのは真っ白な服の鶴丸と紺の着物の三日月だ
手には杯と一升瓶を携えている、これから一杯興じるのだろう
「…まあね、主達が楽しく過ごしてるか心配だからさ」
鶴「…大丈夫だろ、酒でも飲みながら俺達のこと見てるんじゃないか」
三「人には来世というものが存在する、記憶があろうとなかろうといずれまた会えるだろう」
まだまだ先は長い、刀である彼等は本体が折られない限り死ぬことはないから
人の一生は短い、たった一瞬のもの…それでも姿を変えて舞い戻る
やり残したことを成し遂げるために
「…そうだね、今頃泣いてたりして…生まれ変わるための試験に受からない〜って」
三「試験なんぞあるのか、あいや知らなかった」
鶴「いや、爺さん今のは冗談だぞ」
紅葉をはさむようにして左右に座れば杯を手にする、もちろん紅葉にも手渡した
見かけは幼くも年齢は彼等と同じ、法律に触れることはない
…そもそも刀に人間の法律が適用されるのかが疑問だが
杯に注がれた酒を見つめクスリと小さく笑う、酒などいつ振りだろうかとそんなことを思いながら
今日はちょうど満月、酒に写り込む月に月見酒だと一言ことこぼせばそっと口をつけ飲み干した
「…今日の主役は月だな」
三「桜も散ってしまったからな」
鶴「春は桜夏は月、秋は紅葉と冬は雪…人間は飲酒が好きだな、口実がたくさんだ」
「まあ、いいじゃないか…そうやって平和に過ごせるのなら」
戦いで散っていった主達を思い出す、夜のほんの些細な一時だったが月見酒をしている主は幸せそうだった
妻や子供たちに囲まれながら笑っていた
「だめだな、最近昔のことばかり考える…」
鶴「…奇遇だな」
三「…共に戦場で戦った主のことは、忘れられないものだからな…」
しんみりとした雰囲気の中晩酌は続いた
もうすぐ蛍がやってくる
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刹那立夏(プロフ) - 励さん» コメントありがとうございます！はい、精進させていただきます！ね、ネタ切れになった場合はご容赦を…← (2016年4月16日 13時) (
レス) id: 53a9e6d731 (このIDを非表示/違反報告)
刹那立夏(プロフ) - 無しさん» コメントありがとうございます！お気に召さない点がございましたら是非教えてください、これからの作品の糧になりますので。よろしくお願いします。 (2016年4月16日 13時) (レス) id: 53a9e6d731 (このIDを非表示/違反報告)
励 - 励です。初めて書き込みします。更新楽しみです。応援してます。。。。。。。ではこれにて。 (2016年4月8日 15時) (レス) id: 03ce5070cc (このIDを非表示/違反報告)
無し - オリキャラが･･･ちょっとねぇ･･･ (2016年4月6日 16時) (レス) id: b8ecd8eab1 (このIDを非表示/違反報告)
刹那立夏(プロフ) - 山本太郎さん» ありがとうございます!!初めてです、そんなこと言われたの…すごく嬉しいです!! (2015年7月15日 0時) (レス) id: daca33add4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：刹那立夏 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/personal.php
作成日時：2015年5月26日 19時
