記憶喪失と偽装彼氏。【茅ヶ崎至】 (ページ7)

今日:6 hit、昨日:3 hit、合計:7,680 hit

7話 Side.至ページ7

「万里はさ」

考えに考え抜いた結果、万里に話すことにした俺。

本当は話したくないけど、まあ確かに困ってたところと言えば困ってたところだ。

他に話せるような相手もいないし、まあこいつでいいだろう。

「もし好きな女が記憶喪失になったらどうする？」

「…は？」

訳が分からない、といった顔をする万里。

聞いてきたのはそっちだろおい。

「…それは、至さんが今現在置かれてる状況ってことでいいんすか？」

「そんなこと言ってない。ほら答えろよ」

まあそうなんですけどね。

俺の催促によって、真剣に考え出した万里。

「…まあ、普通にそのままオトしに行くんじゃないんすかね…記憶喪失になるくらいなら、入院してるんすよね？周りにいる男なんて医者か患者くらいだし、むしろチャンスじゃないかなーと思いますけど」

流石万里、俺と思考回路が似ている。

いやさ、俺も最初はそのつもりだったんだよ。

記憶喪失なんて俺の敵じゃない、むしろここでキメてやるってね。

「じゃあ、本人に自分と付き合ってるって嘘言っちゃったら？」

「は？」

今度こそ、本当に意味が分からないという顔をされた。

だから、俺だってそんなつもりなかったんだってば。

「至さんマジ何してんすか」

「うるさい。ほら、どうすんの」

驚いてはいるものの、やっぱり真剣に考えてる辺り、こいつに相談してある意味正解だった気がする。