記憶喪失と偽装彼氏。【茅ヶ崎至】 (ページ2)

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2話ページ2

目の前の彼…茅ヶ崎至さんの言葉に、耳を疑った。

このイケメンさんが？私の？恋人？

何の冗談だろう。

「まだ付き合って数週間なので、恋人らしいことは何も出来ていませんが…すみません、こんなこと突然言われても迷惑ですよね」

「いっ、いえ…」

具体的な日数まで出されれば、信じるしかない。

どうやら、冗談ではなかったみたいだ。

「記憶を失ったばかりで混乱しているのは分かります。でも俺は、恋人として名字さんを支えたいと思っています。協力出来ることがあったら、何でも言ってください」

「あ、ありがとうございます…こちらこそ、恋人という大切な存在なのに、思い出せなくて…すみません」

「いいんですよ。仕方の無いことですから」

この人が彼氏、なんてまだ実感がわかないけれど。

よかった、いい人そうで。

私のこともよく知ってくれているみたいだし、これは本当にお世話になるかもしれない。

…あ、でも恋人っぽいこともしなくちゃいけないのかな？

茅ヶ崎さんみたいなイケメンさんが、私を好いてくれているんだ、その想いを踏みにじるわけにも行かない。

…ダメだ、想像したら恥ずかしくなってきた。

「…名字さん？大丈夫ですか？」

「あっ、はい…すみません…」

「謝らないでください」

ニコッと笑う茅ヶ崎さんの顔は、とても綺麗だった。