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08_飽和・一 ページ8

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粥を食べている時、私たちの間に会話はなかった。


久しぶりの再会に多少は浮かれてもいいものを、感慨もなく淡々と朝食をとって、モラクスに至っては片手間に新聞を読んでいる始末。


「もう食べ終わったのか」

『美味かった』


かと思えば気にかけてくれる。猫のようだな。構ってもらっている気になってる私もおかしいが。


「そうか、なら早速だが脱げ」

『え?』


いや違う、単なる意地悪だこれ。


私の聞き間違えでなければ、今確かに"脱げ"…と言われた。


まさかモラクスから…あの幼く純粋で何も知らなかったモラクスからそのような言葉が放たれるとは夢にも思わず、一瞬単語として理解できなかった。


だが、モラクスの瞳は至って真剣。


とはいえ、恐怖でつい自身の体を出来うる範囲で包み隠す。


『モラクス…真っ昼間に…盛りか?』

「何をバカな勘違いをしてるんだ」

『いたっ』


くはないけど声って出てしまうよね。


軽く小突かれただけなんだけど。


そもそも生物学的には男に分類される私だが、脱げと言われても"はい脱ぎます"とはいかないのだ。


別に隠すものなどないのだが、困る。照れくさい。


「はぁ…お前、ここに来てからもう5日はすると言っていたな。お前のことだからずっとその姿だった訳ではないと思うが、とりあえずその服装では目立って仕方ない。郷に入れば郷に従えと言うし」


とモラクスが見せてくれたのは、男物の簡素な作りの普段着だった。でも、モラクスが言うほど目立たない服装かどうかは判断しかねる具合だな。


「それにしても、なぜその姿のままなんだ?」

『…一昨日の新月から、気の乱れが激しくなっていてな。緻密な制御が今は難しいんだ』

「あぁ、そういえばそんなものがあったな。"遠い昔"のことすぎてすっかり忘れていた」

『ぐ…』


皮肉にしか聞こえないのは何故か…。

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もぶ - たぬき印さん» うわあああ、返信ありがとうございます!!めちゃくちゃ面白いです!!!少しずつ明らかになってくの楽しみです...!!! (2022年9月10日 22時) (レス) id: 3fdbb0f866 (このIDを非表示/違反報告)
たぬき印(プロフ) - もぶさん» ここまで見てくださってありがとうございます!これからも2人の関係は少しずつ深掘りしていく予定なので、引き続き楽しんでいただけると幸いです! (2022年9月9日 1時) (レス) id: e020d55359 (このIDを非表示/違反報告)
もぶ - うーーん、鐘離先生と夢主君の関係が好きぃ...お仕事頑張って下さい!!更新首を長くして待ってます!! (2022年9月8日 1時) (レス) id: 3fdbb0f866 (このIDを非表示/違反報告)
たぬき印(プロフ) - はなさん» 2話投稿時には既に修正しておりました。恐らく更新による時差かと思います。ご迷惑おかけしました。 (2022年2月13日 16時) (レス) id: e020d55359 (このIDを非表示/違反報告)
はな(プロフ) - オリジナルフラグたってますよ……! (2022年2月13日 4時) (レス) id: 1f4f011eda (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:たぬき印 | 作成日時:2022年2月12日 2時

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