24_疑念・一 ページ36
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少し身を乗り出し中身を覗いてみると、流石モラクスが用意しただけあり、質素で素朴な味わいの粥や白湯に比べると、どれも砂糖の結晶に光が反射しキラキラと輝いているようで、寝起きに食べては体に障ると分かってはいても、喉から手が出る思いだ。
「ありがとう。七七、白先生のお手伝い…しないといけないから、帰る」
「あぁ、店主殿にもよろしく頼む」
「うん。またね」
少し急ぎ足で帰る様子の七七。
不卜廬の弟子と言っていたが、不卜廬とはなんの店なんだろうと少し疑問を抱く。
まさかキョンシーを公に出すような真似をするとは思えないし、齢は定かではないが幼い少女に一体何ができるというのか。気になりはするが、今はそんなことを気にしている場合ではないのか。
食べ終わった椀をモラクスに方してもらっている片手間に、モラクスから様々な話を受けた。それは主に俺が疑念を抱いていた、岩神の逝去についてだった。
実際のところ、岩神であるモラクスは今俺の目の前でお椀を洗っているのだが、人々が目にした仙体というのも気にならなかった訳じゃない。
そもそも神がまだ存在する地で、まるで神を侮辱しているかのような行為が出来る、実に勇敢な者など存在しないだろうし、あの天権を騙そうなんて恐ろしいことが早々出来るはずもなく、そうなれば自ずと答えは導き出されるものだ。
口ではそこまで深く言及しないモラクスだが、きっと自身の考えがあるのだろうと今は目を瞑ることしかできない。
それよりも興味深いのは、件の旅人についての話だった。
『空が群玉閣へ…?…モラクスが向かわせたのか?』
「ふむ……それ以前に、何故お前は旅人の事を知ったように話す?」
それも当然だ。モラクスは俺が以前は空と行動を共にしていたことなんて知らないだろうからな。少し眉を顰め、不思議そうにこちらを見るモラクスだったが、俺はどのように事情を話すべきか少し頭を悩ませた。
きっと普通に経緯を話したところで「なんでもっと早くに会いに来なかったんだ!」と余計憤らせるに決まっている。
下手なことは言えないと、慎重になるが、寝起きの冴えない頭ではモラクスすらも誤魔化せるであろう嘘は思いつかず、観念したように一から全て語ることにした。
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璃月編が恐ろしく長くなっていて頭が痛い。
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もぶ - たぬき印さん» うわあああ、返信ありがとうございます!!めちゃくちゃ面白いです!!!少しずつ明らかになってくの楽しみです...!!! (2022年9月10日 22時) (レス) id: 3fdbb0f866 (このIDを非表示/違反報告)
たぬき印(プロフ) - もぶさん» ここまで見てくださってありがとうございます!これからも2人の関係は少しずつ深掘りしていく予定なので、引き続き楽しんでいただけると幸いです! (2022年9月9日 1時) (レス) id: e020d55359 (このIDを非表示/違反報告)
もぶ - うーーん、鐘離先生と夢主君の関係が好きぃ...お仕事頑張って下さい!!更新首を長くして待ってます!! (2022年9月8日 1時) (レス) id: 3fdbb0f866 (このIDを非表示/違反報告)
たぬき印(プロフ) - はなさん» 2話投稿時には既に修正しておりました。恐らく更新による時差かと思います。ご迷惑おかけしました。 (2022年2月13日 16時) (レス) id: e020d55359 (このIDを非表示/違反報告)
はな(プロフ) - オリジナルフラグたってますよ……! (2022年2月13日 4時) (レス) id: 1f4f011eda (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:たぬき印 | 作成日時:2022年2月12日 2時