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ASide
「なんですかあの素敵なお方は」
「知らんの？主将の北さんやで」
友達にバレー部を見に行かないかと誘われて仕方なく連れてこられた体育館に一人だけ神々しいお方がいらっしゃった。
誰あれ！？あんな人うちにおった！？そう友達に聞けば主将の北さん、と言う。
北さん、北さん。
よしインプット完了。
「え、何アンタ宮兄弟じゃなくて北さん推しになる感じ？」
「宮侑も治もどーでもええ！！つか侑の方は同じクラスやしアホやし興味すらない」
「そういや同じクラスやったっけ……侑の方は普段近づいたら睨まれるしなぁ」
宮侑。
去年も今年も同じクラス。
アホやし、頭悪いし、知らん人とは喋らんし、すぐ睨むし、アイツの周りでキャーキャー言うたらすぐ睨まれるし。すぐ睨むし。(大事な事なので2回言う)
治の方がまだ可愛えわ、と友達に言えば「侑くんは観賞用なんや」と訳の分からない事を言っていたので無視をする。
とにかく、北さんだ。
なんだよあんな方がいらっしゃるならもっと早くバレー部見に行けば良かった。
それもこれも全部宮侑のせいや！！！
アイツ応援席すぐ睨むんやって有名やし、何が楽しくて睨まれなあかんねん。
お前応援しとるんちゃうぞ！
「北さん北さん北さん北さん」
「あかんAが壊れた」
「北……何て言うんやろうか」
「なんやったっけ、確か高校のHP載ってたで」
「まじで！？」
慌ててスマホで見ればあの素敵なお方が賞状を持っている写真が掲載されていた。
「バレー部主将：北信介」とその下に書かれている。
「はぅあ……名前まで素敵や……」
天を仰いでから涙を流す。
ホンマ素敵な人やな。
とりあえずこの写真は保存しておいた。
「なぁA、試合もう終わるで」
「北さんはちゃんと見てるからええよ」
3チームに分かれての試合形式らしく、既にゲームを終えて得点係をしている北さんだけをスマホを見ながらもチラチラとチェックしていた。
あちこちで宮兄弟の名前と共に「キャー！」という黄色い声援が飛び交うが宮兄弟とかホンマどうでもええわ。
「明日も見に行く？」
「明日は委員会あるし」
「私も明日はバイトやしなぁ」
そろそろ観客もお暇する時間らしく、最後に北さんを拝んでから帰路に着いた。
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作者名：Ryu | 作成日時：2020年7月9日 13時
