【HQ】無表情マネちゃん（青葉城西の場合）

2年生、夏 ページ10

Aがマネージャーになって1年。

せっかくだからたまにはお祝いがてらファミレスにでもAを誘おうという話になり、月曜日の授業後、及川や花巻、松川を連れてAのクラスを訪ねた。


「今日体調不良でお休みだけど……」
「え？」


Aの姿が教室に見えず、近くにいたクラスメイトに聞いたらまさかの休み。
今日は朝練もないから会うことはなかったが、まさか休んでいるとは思わなかった。


「じゃあお見舞いにでも行ってやるか……誰かアイツの住所知ってる？」


そう及川が言えば、全員黙り込んだ。
俺は夜遅いからと途中まで送って行ったことは何度かあったが、具体的な場所までは知らない。


「うーん、先生なら知ってるかな、ちょっと聞いてくる」


珍しく率先して聞きに行く及川に花巻も松川も気付いたようで、思わず顔を見合わせる。


「岩泉、なんかあったのか？あれ」
「いや、しらね」


松川に聞かれて、思い当たる事は無かった。
何か心境の変化でもあったのだろうか。


「聞いてきたよー、じゃあ行こうか」


楽しそうに鼻歌なんか歌いながらスマホ片手に地図を見ながら歩いて行く。
なんか、いつにもまして気持ち悪いなコイツ。


「おい、及川お前Aとなんかあったのか」
「ないけど？」


キョトンとした顔でそう返した及川に更に気持ち悪さが増す。
怪訝そうな顔の俺を見て花巻と松川は「人殺せそうな顔してんぞ」とケラケラ笑っていたのを肩パンチして黙らせた。


「なんだよ岩ちゃん、俺がチームメイトを心配しちゃ悪いわけ？」
「今までならしなかっただろーが」
「あぁ、そういう事？まぁ……そうだねぇ、アイツ俺にだけ態度悪いもんねぇ」


にこやかにそう言う及川だが目が笑っていない。


「だから卒業まで出来るだけ俺から構ってやるって決めたんだよねぇ……フフフ」
「アイツ最低だな」
「アイツ迷惑だな」
「マッキーもまっつんもうるさいよ！！！」



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