【HQ】無表情マネちゃん（稲荷崎の場合）

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「じ、じゃあ貴女はちゃんとやってるんですか！？すぐマネージャー辞めさせるらしいやないですか！！ちやほやされるのを独り占めしたくて私たちを辞めさせようとしてるんでしょう！？」


そう言って「もうやだ！辞める！！ねぇ帰ろう！！」俺と治の腕を強く引くアホ共に「やめろや」と低く言ったがヒートアップしているのか聞く耳を持たない。
ベタベタされるのも気持ち悪いし興味のない奴の胸を押し付けられたとして何とも思わない。
ああくそ。と思っていると。


「選手の大事な腕を引っ張るな！！馬鹿か！！」


そう言ってアホ共を引き剥がす田中さんに全員がポカンとした。
な、なんや、大きな声出るやん。怒った顔できるやん。
あと関西人に馬鹿はあかんな、なんてどうでもいいことまで考えてしまった。


「あんたらみたいに自分の事ばっか考えて行動している馬鹿がマネージャーなんかしたら選手が可哀想や！そんなにイケメンに相手されたかったらホストでも行きな！！」


そう言って体育館からアホ共を放り出すと重たいドアをバンっと勢い良く閉めた。
お見事、と2・3年生から拍手が送られ、つられて1年もぱちぱちと手をたたく。
いや、拍手せんでいいから田中さん助けてやれよ。
というかまた馬鹿って言いよったし、しかもホストって。ちょっと笑ってまうわ。


「侑、治」
「「はい」」


ぐりんとこちらを向いてからスタスタと無表情でこちらに歩いてくるAさんに少し怯える。
俺なんもしてへんよな？


「腕大丈夫？」
「え、あ、大丈夫……です」
「俺も、大丈夫……です」




そう言えば安心したのか眉尻を下げて口角を少し上げた田中さん。






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