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何億分の一 58 ページ9

「ともはお腹減っとる?」

「いえ、それほど差し入れのカツサンド食べたの遅かったし、流星さんこそ」

「俺も食べたからな…だったら」

「ん?」

「もう家に帰りたいんやけど…」


帰ってともを抱きしめたい…って言ったら怒るだろうか?



「じゃそうしましょ…きっと家にも何かありますよ」


タクシーの後部座席で絡んだままの指に力を込めた。









「ただいまぁ…って、居るわけないですよね…っと」


ともが振り向いた時を狙って腕の中へと囲い込む。


「流星さ…」

「今日ずっと抱きしめたかってん」

「…うん…知ってました」


ともが嬉しそうに笑う。


「通じ合ってたんや」


自分の声がビックリする程優しくて…それだけとものことを愛してるんやってわかる。


「キスは?」


わざとらしく問えば大人しく目を閉じる。


「…んっ」


しっとりとした弾力のある唇にすぐに夢中になった。


「…っ……んっ…ふ」


ふと…目を開ければ目の前で真っ赤な顔をしているとも。


「…え?」

「…ぷはっ…ハッ…ハァ」

「とも…ひょっとして息止めとった?」


肩を上下させながらコクコクと頷くともに思わず笑が漏れる。


「な、なんで笑っとるんですかー」

「ごめん…ごめんな…あんな、鼻で息したらええよ」

「え?うそ!」


みるみる真っ赤になるともを胸に引き寄せて笑った。


「もう…知らん!流星さんのアホ」

「ホンマにごめんて…」

「教えてくれたらよかったのに」

「教えたやん…今…ほらもう一度…」

「もうしな…んっ………んっ」


暴れるともを押さえつけて唇を貪る、もう窒息はさせへんよ。


「うんっ…あふ……んっ」


カクリと膝から崩れ落ちるともの身体を支えてソファになだれ込んだ…ホンマに可愛くて食べてしまいたいくらいや。


「んっ…りゅ…せ」

「とも…好きや…」


薄く開いた唇の隙間から舌を滑り込ませて、これでもかというくらい口腔を撫で回した。


「…んくっ……ふぁ……」


普通こんだけしつこくキスしとったら怒られそうなもんやけど、可愛ええともは怒らんのよ…てかキスの平均時間なんてわかっとらんようなもんやしな。


「とも…気持ちええ?」

「…ん…ぅん」


ハァハァと息も絶えだえに頷く姿はホンマに可愛くて、このまま押し倒して事に及びたいのやけど約束してしまったからなぁ…。


「んっ…」


モゾモゾと動くともに下半身を刺激されながらも半紙のように薄い理性を必死で保った。


「りゅせ…さん」

「…え?」


急にボロボロと泣き出したともが胸にしがみついてきた。




これは一体…。

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作者名:rik | 作成日時:2019年11月17日 18時

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