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何億分の一 53 ページ4

次の日事務所に行くとにわかに忙しそうでいつもと様子が違っていた。


「おはよーございます」

「あ!とも!」

「ん?」


僕の顔をみるなり照史くんが焦ったように手招きをした。



「なんですか?」

「大変や!お前にドラマの話がきたで!それもあちらさんからお前をご指名や!ホンマにおまえ何やったん?」

「僕に?どらま?」


ドラマってあのテレビでやってる奴?僕が??


「すごいでーーゴールデン枠やで!主役ではないけど重要な役やって」


淳太くんも少し興奮気味に捲し立てている、淳太くんがこんなに興奮するくらいやからきっとすごいことなんやな。


「ええなぁ、ワンクールまるまるあるドラマで顔を売るチャンスやん!」


のんちゃんまで!!僕の中身神ちゃんやないのに大丈夫なんかな…なんかめっちゃ不安になってきた。




「会見もでるんやって…大丈夫か?」

「大丈夫やで流星さん、神ちゃんの代わりはしっかりと務めさしてもらうわ」


ガッツポーズを作って見せれば少しだけ安心したような笑顔になった。

神ちゃん自身は何度かドラマに出てその度に番宣なんかにも出てるらしい…バラエティ番組にもでてしっかり番組宣伝しなくちゃいけないのに、今回は中身が僕だから最低限の所にだけ出ればいいように事務所が配慮してくれたんやって。


病み上がりだから激しく身体を動かす体育会系のテレビは避けてくれたって…ちょっぴり出てみたい気もするんやけど神ちゃんのイメージは
壊したないな。


運動神経抜群ていう話やからな。




「それにしても…先輩直々にとか、ともお前なんかやったんか?」


不思議そうな流星さんにブンブンと首を横に振る。


「なんもやった覚えないんやけど」

「だよなぁ」


僕以外の全員が首を傾げるような不思議な話。
けど僕の顔が売れればそれはグループ全体のイメージアップにもなるんやって!

ちょっと不安やけど…楽しみな気持ちも半分ある。


ほんまに神ちゃんの居るここはキラキラしてて楽しい所なんやな。


「とも…今日さ飯いかん?夜仕事入ってなかったやろ?」

「え?ホントですか、嬉しいな流星さんとご飯なんて久しぶり」


「…あ…ほんなら俺らも…………」



何かを言いかけた照史くんに流星さんが振り返った。

途端に青ざめて口ごもる照史くん…どうしたんやろ?隣で淳太くんがめちゃ笑っとる。



「じゃ、俺らお先に失礼します」

「お疲れ様でした」

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作者名:rik | 作成日時:2019年11月17日 18時

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