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「嘘やろ?だってさっきまでここに!!」
電話口の小瀧に思わず声を荒げた…だってそうやろ?
小瀧がおかしな事を言うんや…。
ともの父親が亡くなったって…。
さっきまでここに居ったやん?
「なぜだか分かりませんが…彼は再び会社にもどってきたんです、その時…居眠り運転のトラックが暴走してきて…あっと言う間の事やったらしいです」
だんだんと小さくなる小瀧の声に…これは夢なんかじゃないと思い知らされた。
そして僕の頭の中に真っ先にともの顔が浮かんだ…。
どうしよう…ともになんと言って説明しよう。
「わかった僕も確認に行こう…どこの病院や?」
上着だけを掴んで通話状態のままに部屋を飛び出した。
「間違いありません」
別人であってくれという願いは空しく、目の前に横たわっていたのは…物言わぬともの父親。
「…あ」
「大丈夫ですか?」
後ずさった拍子に足が縺れて倒れそうになった…小瀧が居らんかったらみっともなく尻餅を付いていたところや…。
「なぁ…小瀧…僕はこれからどうしたらええと思う?」
「父親が死んだ事は暫く黙っていた方がええと思います」
「そうやな…」
酷く重苦しい空気にそれ以上の言葉を発することは出来なかった…。
それよりも早くともの所へ帰りたいと思った。
「ただいま」
バタバタと駆け寄ってくる足音…いつもなら嬉しいはずなのに、今日は側に来て欲しくない気持ちの方が強かった。
「ばあや…頭が痛いから少し休む…夕ご飯はええわ、ともと二人で食べてや」
ポンとともの頭に手を置くと心配そうに瞳が揺れた。
………知ったら…泣くんかな?
「ごめんな…とも」
一緒に夕ご飯を食べれない事を謝ったと思ったのか…ともが一生懸命に頭を振った。
そのまま自室に籠ってベッドの中で丸くなる…。
最初に来た時に大人しくともを返していたら彼は死ななくてすんだんじゃないか…。
昨日の時点でも、なにか出来たことがあったんじゃないか…。
考えれば考えるほど頭の中が混乱して目の前がグルグルと回る。
「…うっ……」
零れてきた涙は静かに枕に吸い込まれていった。
カチャリとドアの開く音がして、静かに誰かが入ってくる。
ベッドの横に立つ気配がして、そっとおでこに手が当てられる…程なくして額にひんやりとしたものが貼り付けられた。
『ともや…』目を開けなくたって分かる…優しくて温かい掌。
平静を保とうとすればする程…涙は溢れてきた。
こんなに優しい子に育ててくれた父親やったのに…。
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rik(プロフ) - 神ちゃんがホンマの神様さん» ひぇ!!ありがとうございます!そんな所を間違えるなんて…ご指摘ありがとうございました!治しましたー (2018年1月31日 19時) (レス) id: d865d0f00c (このIDを非表示/違反報告)
神ちゃんがホンマの神様 - 10話のとも「自身」が「自信」になってますよ〜。口出しすみません。m(__)m (2018年1月31日 18時) (レス) id: 381c1a5a57 (このIDを非表示/違反報告)
rik(プロフ) - Kananさん、大好物ですか?(笑)よかった!!好きと言ってくださってありがとうございます(^-^)嬉しい!頑張って面白いものにしたいと思います!次からも宜しくです。 (2018年1月26日 17時) (レス) id: d865d0f00c (このIDを非表示/違反報告)
Kanan(プロフ) - ありがとうございますありがとうございます(涙)大好物の予感しかしません( ´∀`)rikさんの作品全部大好きです! (2018年1月26日 14時) (レス) id: 087bd927e3 (このIDを非表示/違反報告)
rik(プロフ) - 神さん» 神さん!ありがとうございます。好きなコンビですか!!神さんをガッカリさせないように頑張りますね!これからもよろしくお願いします(^-^) (2018年1月26日 13時) (レス) id: d865d0f00c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:rik | 作成日時:2018年1月25日 17時