虹色恋話 其ノ伍

花と恋日和 1 ページ2

「なんやのお前らうっさいねん」

ダンッと、黒板をグーで叩くと思ったよりも大きな音がして今までわぁわぁ賑わっていた教室は一斉に静かになった。


思えば…こうなる事は誰もが想像出来た事やったんや。




卒業式の日にはこの教室は大変な事になるって…。





照史やろ…淳太やろ…それに３年の頭に転校してきた流星、このイケメン3人のモテっぷりはエグい。

照史なんて容姿はほかの二人よりも少しばかり落ちるけれど、なんせ面倒見がよくて懐が広い男や、老若男女構わずモテる。

照史にはそんじょそこいらの男では相手にならんわ…人間の出来不出来の問題や。

淳太は淳太であんな神経質そうな顔しているくせにめちゃめちゃ性格が良くて人当たりがええ…それで頭がめちゃめちゃええってどういう事や？

モテる要素しかないんちゃう？

そんな二人とつるんでる俺の立場と言ったら…。

俺の良いところ？喧嘩が人よりちょっとばかり強いとか？運動神経がいいとか？……その位しか浮かばんなぁ。

せやから周りから見たら俺はあの二人には不似合いなんやろうなぁ。


「不釣り合いだって分かってねえのかよ、二人に近づくな」

「放課後体育館の裏に来い一人で来いよ」

俺が昔から貰う手紙といえばラブレターよりは抗議文、告白の呼び出し状よりは果し合いの呼び出し文。


ホンマに何もしてなくても悪者や。


ついてない奴ってのはとことんついていないと実感させられるような現実。

イケメンが一人増員されよった…しかもこのイケメンは、超のつくイケメンや。

「南星中から転校してきました藤井流星です」


「「きゃああああああああああぁぁ」」

流星が転校してきた日はホンマにすごかったなぁ。

イケメンが転校してきた！って瞬く間に学校中にひろまって、全女子ならぬ男子まで見学に来とったっけ。


当の本人は寝とったけどな。


そんな三人に何故か懐かれてしまっている俺…不思議や。


おかげで他の人よりはちぃとばかし賑やかな学園生活を送れた…楽しかったな…うん。

それも今日で終わり…って言うてもこの学校は持ち上がりの金持ち学校やから、卒業してもまたすぐ入学なんやけどな。

高校の校舎離れとるしなぁ…あの姿が中々拝めなくなるんは辛いとこやろうな。




「あ〜あ、囲まれとるわ」

式が終わると、やれ写真だ花束だプレゼントだと3人はホンマに忙しそうや。



「帰るか…」




ホンマに手持ち無沙汰やし、することもないんで先に帰ることにした。

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