記憶60 ページ15
「なるほど」
落ち着いたらしい二人から聞いた事情をまとめるとこうだ。
保健委員会は昼間聞いたように裏山へと薬草摘みに行った。
しかし摘んでいる最中に雨が降り始めたため、急いで帰ろうとした。
帰路の途中で運悪く、岩がこの二人の上に落ちてきた。
でも二人は伊作さんが助けたため無事だった。
助けた時に伊作さんが足に怪我を負ってしまった。
伊作さんは六年生らしく、その六年生は明後日実技の試験がある。
そこまでは分かった。
「でも、私に彼を助けることは出来ないよ。二人の方が助けになるんじゃないかな。保健委員なんでしょ?」
話を聞く前に自己紹介をしてもらい、赤毛の子は猪名寺乱太郎くんというのだと知った。
乱太郎くんは「そんなぁ」と目に見えてわかるほど落ち込んだが、伏木蔵くんはそんなこと無かった。
「Aさんならきっと助けられます!」
一体何を根拠に言っているのか。
伊作さんは私の心を救ってくれたと言っても過言ではない。
そんな彼を助けられるのであればもちろん協力したいと思う。
だが、怪我を治すなんてそんな人知を超えた力は私には……。
(まさか……)
まさか、伏木蔵くんは気づいているのだろうか。
私が、怪我の治りが以上に早いことに。
乱太郎くんは知らなさそうだ。
となると伏木蔵くんがどこかで察したのか、それとも伊作さんが約束を破ったか。
いや、伊作さんはそんな事しない……はず。
そもそも話すタイミングもないだろうし、伏木蔵くんが知っていたのであれば乱太郎くんだって知っている可能性が高くなる。
伏木蔵くんの洞察力が優れていただけ、なのだろう。
……多分。
(……一体いつから気づいていたんだろう)
また泣きだしそうな顔をする乱太郎くんを余所に、保身ばかり考える私はそのことを尋ねた。
218人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「忍たま」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:小学7年生 | 作成日時:2020年1月8日 20時