探偵社には社畜系お嬢様がいるらしい【文スト】

7話 ページ10

乱歩さんの付き添いも終え、ようやく社へ戻れた頃の話である

「ねっ、これもおねがいっ！紫桜さんならできるよね？」

『でも、私、もう今日は帰る予定が……』

「え？何それ……やってくれないの？」

『えぇ。こちらにも予定がありますか、』

「うわああああんっ！酷いよ……っ、みんな、みんなぁっ！紫桜さんが、私に仕事を押し付けてきて……」

その場で泣き崩れてしまう夢花さん
……ああ、本当に鬱陶しい

「紫桜さん……仕事ぐらいちゃんとしてください！」

「そうだよ。……ったく、普段から乱歩さんの付き添いばっかりでまともに仕事もしてないのに……」

真っ先に駆け寄ってきた中島さんと与謝野さんに責められてしまった

『でも、これは夢花さんのお仕事で……』

「ぐすっ、夢花こんなに沢山お仕事できないよう……！」

さらに泣きじゃくる夢花さん

「う、ううっ、心臓も痛くなってきたぁ……私、もう帰らないと……っ！」

「……夢花、こんなやつ気にしなくていい。早く帰ろう？……今日は、私と湯豆腐を食べに行く約束」

鏡花さんまで彼女をかばい出した
……というか、人に仕事を押し付けてまでした約束が湯豆腐を食べに行くって、何なのかしら

もういいかな、仕事くらいやってあげても
この人たちの相手をするのも面倒になってきた

「おい、お前ら！」

『……国木田さん』

「夢見は自分の仕事くらい自分でやらんか！お前はいつも紫桜に仕事を押し付けて……太宰でもあるまいしそろそろいい加減真面目に仕事をだな！！」

……国木田さんに庇っていただいてしまった

「でも国木田、夢花はいつも紫桜に虐められて……」

『わ、私、そんな事……』

「紫桜がそんなことするはずがないだろう！だいたい彼女は社内で誰より真面目に働いていて……」

『……ありがとうございます、国木田さん。でもいいんです、私、残業しますから……』

「だ、だが……」

眉を顰める彼

『……いいん、です。もう慣れました』

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