探偵社には社畜系お嬢様がいるらしい【文スト】

9話 ページ12

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はてして、焼肉を少し食べすぎた次の日のこと

「わぁ！紫桜さんっ、そのネックレス可愛いねぇ」

『……あら、ありがとうございます』

私の首にかけた、ネックレス
……金属でできた小さな蝶のシンプルなネックレス、だけど

「……ねっ、それ貸してよ！」

絶対そう言うと思った

『無理です。これは、大切な人から貰ったもので……』

「ぐすっ、ダメなの？酷い……っ！いつも私にお仕事押し付けてるくせに！」

そういうと私の首から無理やりネックレスを引きちぎる彼女
ついでに、仕事を押し付けているのは彼女の方だ

『っ、あ、返して！それは、彼の人から貰った……！』

ほかの全てなんて、どうでもよかったけど
それだけはダメだった

「えぇ？いいよね、ちょっとくらい！私この後お出かけする予定があるから！」

そのままどこかへ行こうとする彼女の腕を掴んで引き止める

「っ、きゃぁっ！やめてよ紫桜さん……っ！」

『返して、くださる？』

彼女を睨む

「ひっ、や、やだ……酷いよ……っ！そんなに睨むなんて……！」


『だって、それは、彼の人がくれた……』


「……夢花のこと、虐めないで」

「ちょっと！夢花さんを泣かせないでください！」

私と彼女の間に入って彼女を庇う……谷崎ナオミ、そして泉鏡花
……邪魔だ

『返して、ください。大切な人の形見なのです』

俯く

……彼からは、捨ててくれと言われていた
自分が帰って来れなかったら、そんなもので君を縛ることがないようにと

「ちょっとくらいいいでしょ！」

『ダメ、なのです、それだけは……』

思い返してみれば、本当に優しい人だった

「……っ、何よ、こんなもの……っ！もう紫桜さんなんて知らないッ！」

そう言って私のネックレスを窓から投げ捨ててしまう彼女
……酷い

酷い、けど

…………彼の、言いつけを守るのなら
私がそうするべきだったのだ

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