探偵社には社畜系お嬢様がいるらしい【文スト】

8話 ページ11

「……はぁ。もういい、夢見は帰れ。いても邪魔にしかならん」

「っ、国木田さん、酷い……っ！」

泣きながら立ち去る夢花さん
……そしてそれを追いかける取り巻きのお方たち

「紫桜。俺も半分手伝う」

そう言って私の机に置き去りにされた書類を持って自分の机＿と言っても私の隣だけれど＿に座る彼

『……でも、そんな……悪いです』

「……そうだな、なら手伝う代わりに、仕事終わりに焼肉でも行くぞ。……付き合ってくれるか？」

照れくさそうに笑う彼
……困った

『焼……肉……？え、ええと……ビーフステーキのお店でしょうか？』

「……ん？ま、待て、知らないのか？焼肉」

『えぇ、食事は家でシェフに作らせていますので』

「……知ってはいたが、本当にいい所の令嬢なんだな」

『ふふ、そう褒められると照れます』

淡々とお仕事を片付けながら会話を続ける
国木田さんと会話するのは結構好きだ

「……とにかく、飲みに行くぞ！あの阿呆共の愚痴でも何でも聞いてやる！」

『ん、ありがとうございます。……楽しみ、です』

焼肉なんて行ったこともないし、本当に楽しみだった

＿＿＿

「っ、はぁぁぁ……一日の疲れが飛ぶ……！」

ジョッキに注がれた生ビールを飲んで机に突っ伏す国木田さん

『ん、美味しいですね、焼肉……！』

「ああ、好きなだけ食え。……にしても本当に初めてだったのか」

『そうですね、このようなジャンクフードは教育に悪いって禁止されていましたの……』

「や、焼肉がジャンクフード……」

信じられない、という目で見られたけどそれはそれ

「……そういえば、大丈夫なのか。夢見のことは」

ふと真面目な様子で聞いてくる

『あぁ、彼女……大丈夫です。もうだいぶ慣れてしまいましたから』

これは本当、慣れてしまえば案外なんでもないもので……
……慣れるものでも無いのかな

『国木田さんこそ、太宰さんのことは大丈夫なんですか？』

「大丈夫なわけがあるか！あの唐変木と言ったら……」

結局、その後1時間ほど話し込んでしまった

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