私の声は届かない【呪術廻戦】 (ページ1)

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1話ページ1

「おはようお姉ちゃんっ！」

どこまでも可愛い、双子の妹

『う、う、ん、お、おはよう……』

「もう、お姉ちゃんったら……もっと元気出さないと！ほら、にこにこ笑顔の練習しよう？」

屈託のない笑顔が苦しい

『あ、ご、めん、私、用事があるから』

「そっか……じゃあね、お姉ちゃん！」

少しだけ形のいい眉を下げて、残念そうに微笑む

『う、うん、じゃ、あね』

……しらないのだ、彼女は私から奪ったものを身につける方なんだから当然だけど

際限なく落ちぶれて、苦しむのが私の役割
誰からも愛されて、輝き続けるのが妹の役割

大きな屋敷の中の、小さな離れが私の生活空間

澪音は屋敷の一番大きな部屋で、従者をつけて暮らしているらしい
……これも、あくまで呪術の為に過ぎない

澪音は何も知らず私も同じような生活をしていると思い込んでいる

私は側仕えの術師に、好きなように嬲られるだけの生活なのに

『……』

「おい」

声を、かけられる
側仕えの術師だ、冷たい声で背中を蹴られた

『あ、ご、ごめんなさい』

「早く高専に行くぞ。準備もできないのか？本当に使えない……澪音様を見習って欲しいな」

ため息をつかれた
……また、失望させてしまった

『……ご、ごめん、なさい……』

「チッ、謝ってればいいってもんじゃないんだよ」

……私の日常は、こちらだった
どうして、私はこちら側なんだろう