ice. (ページ3)

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2週間ぐらいの間で彼には3.4回すれ違った。

またいつものコンビニに入ると、遂に彼の姿が。

メガネをかけてジャージを着ている。

(作者はジャージは彼が世界で一番似合うと思ってます)

…さすがに声掛けちゃう。

とにかく、昔の同級生だと分かる内容を話さないとね。

グミのコーナーで立ち止まる彼の隣に立って

「東北高校 2年3組出席番号29番…」

小声でそう囁くと、明らかに驚いた顔で私を見つめる。

『…！？…もしかして…Aちゃん！？』

彼も同じくらいの囁き声で返事をしてくれる。

…あら、覚えてるんだ。

隣でお菓子を選んでいるフリをして

うんうん、と頷くと

あの爽やかスマイル。

　

「…覚えててくれたんだ。」

『…だって、こんな変わった声の掛け方する子Aちゃんしかいないでしょ？笑』

ふふふ、と笑いながら、

私の手からお菓子とクロワッサンを取り上げてレジに向かう。

さっとお会計を済ませて、

私の手を掴みながら足早にお店を出る。

　

「…あ、あの、お金…。」

私の声なんて聞こえてなさそう。

どこへ行くんだろうか。

きっと、人目につかないところを目指しているのだろう。

到着したところは、

私の自宅にほど近いデザイナーズマンションだった。

…男の家か。

彼に下心がないことはわかっているけど、多少ドキドキするものだ。

ロックを解除して、エレベーターに乗り込む。

『ごめんね、二人で話したいけど東京の土地勘なくて。』

「…あ、うん。」

何故かとても嬉しそうな彼の顔を見ていると

帰る、だなんて言い出せなくて促されるまま部屋に。

電気をつけると広い廊下に、清潔感のあるリビング。

『そことか、適当に座ってね。』

ソファを指さされて、言われるがままに座る私。

早すぎる展開に少しパニックだ。

落ち着かない気持ちで、

ソファに腰掛けあたりをキョロキョロと見回す。

マグカップを二つ持って現れた彼は

ニコニコしながらマスクを外して

私の隣に腰掛けた。