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ラミの体を抱えたまま、地面に降りる。
そして、病院の前で膝をつく一人の子どもを見つけた。…ローだ。
「…！ロー、」
よかった。殺されたりはしなかったようだ。
抱きしめたい衝動に駆られたが、先程のことがあった手前、容易に手を出すことは難しかった。
「ぁ、」
「！！」
そして、目が合った。ローの虚な瞳は、俺の抱えるラミを映した。
「…ラミ………」
ボタボタとその大きな目から涙が落ちる。キッと俺を睨みつけると、ローは言った。
「ラミを放せよ！！ニセモノ！！！」
そう言って憤るロー。飛びかかってくることすらしないが、それでも敵意だけはしっかりと俺に届いた。
ふと、気づいた。
「！！ロー！！」
「っ！？」
隠れた銃口が、ローの方を向いている。
銃声が響く。
「っぐ、」
ローの前に飛び出る。ラミを抱いてるから、背中で銃弾を受けるしかない。どうやら、銃弾は肩口と右横腹を貫通したようだ。
ぴちゃ、とラミの頬に俺の血が飛んだ。
…あぁ、ラミ。悪い。俺の血で汚してしまった。
「っにいさま、」
「…ロー、にげろ、」
まだ、兄だなんて呼んでくれるんだな、と少し検討違いのことを考える。でも、もういい。偽物でもいいし、お前の中から俺の存在を消したって構わない。
…お前を守って死ねるなら、もういいんだ。
だけどな、ロー。これだけは、忘れないでほしい。
「…ろー、」
俺はお前をずっと愛してる。
そう言う前に放たれた銃弾が、俺の身体を貫いた。
「兄様ァ〜！！！！！」
ガクリと膝をついて、そのまま、血を吐いて地に倒れ伏す。焼き付くような痛みは、飛びそうな意識を逆にそのまま引き止めた。何度か口を開閉してみたが、声は出ず、空気だけが漏れるだけだった。
「…っ、」
ローに逃げろと言いたいのに、それすらも言葉にできない。
狭まる視界の中で、俺の体を揺するローの姿が目に入った。
あぁ……ごめんな、ロー。不甲斐ない兄で。
ごめん。ちゃんと、助けてやれなくて。
泣かせて、ごめん……。
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作者名：雪林檎V2 | 作成日時：2021年1月28日 14時
