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「おや、A先生じゃないか。眼鏡変えたのかい？」
「あぁ。そうなんです。一家そろってプレゼントしてくれて…」
「そうかそうか！相変わらず仲がいいなぁ！」
「あはは、どうも」
あれから、プレゼントしてくれたサングラスを愛用するようになった。最初こそ怖がられはしたが、今ではサングラスのA先生と呼ばれるようになってしまって非常に遺憾の意である。
まぁ、余談はここまでにして。
今日はとあるものを買いに街に出たのだ。サングラスをかけた俺が珍しいのか、すれ違う人に声をかけられてもうすっかり夕方になってしまった。
「ローが喜んでくれるといいな」
綺麗に包装されたそれを大事に抱えて家路を急ぐ。
父さんはもう帰ってきてるだろうか。いや、帰ってきてるな。親バカなあの人のことだ。仕事も放りだして…いやそれはないな。ちゃんと前日までに終わらせて今日は限りなく少なくしてるはずだ。苦情が若干俺のところにも流れてきてたのは見ないふりをしたい。
「…あれ、A先生じゃない？」
「え、嘘！？」
「サングラスかけてるけど絶対そうだよ！」
…まずい。
これ以上時間を食うと、約束の6時に遅れてしまう。
…あんまりしたくなかったけれど、仕方ないか。
近くの木の上に上って、そのまま建物の屋根に飛び移る。以前、心ある優しい海賊の人たちに教えてもらった逃亡の仕方だ。あれから何年もたったけど、まだ体が覚えていてよかった。
「…よし、」
なんとか時間には間に合いそうだ。
ただいま、と扉を開けると、お帰り、と優しい声が聞こえた。
「遅かったわね」
「ちょっと絡まれちゃって」
「人気者だったのね」
手を洗っておいで、と言われ、その通りに手を洗いに行く。そのあとにダイニングに行くと、みんな揃っていた。
「兄さま！おかえりなさい！」
「あぁ、ただいま。遅くなってごめんな」
「そうだぞ！私は頑張って早く帰って来た！」
「嘘よ。父さんも今帰ってきたばかりだもの」
「リニー！！」
「……それなのに俺にドヤ顔してたのかアンタ」
「う、悪いか！！」
「別に悪いとは言ってないだろ」
「けんか！ダメだぞ！」
「「……」」
「っふふ、ローには二人共適わないわね」
さ、ご飯にしましょう。という母さんの声掛けで賑やかな夕食が始まった。
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作者名：雪林檎V2 | 作成日時：2021年1月28日 14時
