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トラファルガー・ネイside
「ねぇ、あなた」
「なんだ？」
「ローの部屋にまた医学書置きっぱなしにしてたでしょ」
「えっ！？そうだったか！？」
「Aが怒ってたわよ？」
教育に悪いーって、と真似をしながら笑うリニー。そう言ってるAの姿も容易に想像できた。最近よく思うが、私よりもAの方が親らしいんじゃなかろうか…。ローの懐き方も半端ないし、ちょっと父様かなしい。
「今日も二人で散歩でもしてるのか？」
「いいえ、今日は二人でお勉強してるわ」
「…勉強？」
「この間、ローが解剖学の本をAに買ってもらったらしいの。それでやっぱり難しかったから、頼れる兄さまに教えてもらうんだって」
「そこは私じゃないのか！？」
思わず飲んでいたコーヒーを置いて叫んでしまった。息子に嫉妬するのはおかしいが、私もローと遊びたい。いや、ローだけではない。息子たちと全力で遊びたいのだ。
「ふふ、そう言わないの。ローはあなたみたいなお医者様になりたいのよ」
「え」
「まずは沢山勉強してあなたを驚かせるんですって」
…なんだそれ。
「…可愛すぎる…！！！！」
「大人げないこと言わないでちゃんと驚いてあげるのよ？」
「勿論だ！！！」
「後、これ、二人に差し入れで持って行ってあげて」
テーブルに置かれたのは、美味しそうな色とりどりのドーナツ。明らかに二人分ではないその量に首をかしげる。
「こんなに食べるのか？」
「馬鹿。一緒に休憩したらって言ってるのよ。貴方もあの二人も真面目なんだから」
「リニー…！！」
ドーナツの乗ったトレーを持ってウキウキした気持ちで二人がいる部屋へ向かった。
が。
「…寝てる…！！！」
二人はスースーと寝息を立てて日向ぼっこしながら眠っていた。
ローはAの腕の中にすっぽり収まっている。
「……っはは、」
少し悲しいが、それよりもこの二人が仲良くしていることが喜ばしくてたまらない。Aは特にだ。
そっと、棚からブランケットを取り出して二人にかけて部屋を出た。
「良い夢を、可愛い息子たち」
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作者名：雪林檎V2 | 作成日時：2021年1月28日 14時
