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おぎゃぁ、おぎゃぁ。
聞きなれない、赤子の鳴き声が耳をつんざく。でもそれは決して嫌なものじゃなかった。
「A」
「何？」
「抱いてあげて」
そう言って抱えられたローは、未だに泣いている。
でも、俺が抱えていいのだろうか。
今更、躊躇してしまう。
「どうした？」
「…いや、俺のこの手で、抱いていいのかと」
「いいに決まってるだろ！……Aのその手は人を救うための手だ」
ぽん、と頭に乗せられたネイさんの手。
不安を見透かして、取り除こうとしてくれてるらしい。
「……」
恐る恐る、ローに手を伸ばした。
柔らかくて、暖かい。ちっぽけな存在。
あまりの弱さと儚さに、俺はどうしていいか分からず固まった。
「はは、固まってる」
「ほら、ロー。お兄ちゃんよ〜」
「ぅ〜」
するとどうだろうか。今まであんなに泣いていたのに、ローはふにゃりと笑い出した。
あぁ____。
ボロボロと溢れる涙が止まらない。
命って、こんなにも暖かいんだ。
こんなに、綺麗なんだ。
「あんまり泣くとローまで泣くぞ？」
「…泣いてない」
「はは、素直じゃないな」
小さいのに懸命に息をしているその姿は、俺にはじめての感動を与えた。
「…ロー」
「ぁー」
俺の指を掴む姿がいじらしくて、思わず微笑んでしまう。
パシャッ
「いやぁ、うちの息子達は可愛いな」
「おい、何撮ってるんだよ」
「いいじゃないか！ローとAの成長アルバムに加える！」
「ふざけんな、消せ」
「嫌だ！！」
ひし、とカメラを抱きしめるネイさんにため息が漏れる。
「ガキかアンタ！！！」
「それはAだ！！」
「はっ倒すぞ」
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作者名：雪林檎V2 | 作成日時：2021年1月28日 14時
