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「夜は冷える。そろそろ部屋に戻るのを勧めるぞ」
「あぁ。そうだな」
本当はもう一服したいところだが、箱ごとドラゴンさんに取られてしまったからには仕方がない。諦めて彼の背中を追った。
「…そういえば、なんで偽名だって気づいたんだよ」
「この間、お前の出した書類にトラファルガーとサインしてあった」
「………なるほど」
俺が迂闊だっただけのようだ。
…となると、この人はその名前を知ってると言うわけだ。というかドラゴンさん、俺に素性明かしてくれたよな?
……いや、まぁ、突っ込みたいところは色々あるが、このままじゃ行き交った情報がフェアじゃない。
「…教えとくよ、俺の名前」
「いいのか?」
「どうせもう知ってるなら、ちゃんと名乗る。……俺の名前はトラファルガー・A。トラファルガーは偉大な医者の名だ。誰にも傷けさせやしない」
そう言い切って、改めてよろしく、と笑った。
「良い名だな」
「当たり前だ」
そしてふと、思う。会った時に名乗られたモンキー・D・ドラゴンという名前。この人にもDが付いている。
「ドラゴンさんもDをミドルネームに持ってたな」
「も?」
「何回か耳にした名前だと思って」
昔母さんと父さんから聞いたことのある名前。トラファルガーではDを隠さなければならず、忌み名としてワーテルという文字も含まれているとかなんとか言っていた。
子どもの頃に会った海賊の名前にもDが含まれてたし、もしかしたら代々受け継がれる名前なのかもしれない。
そんな風に、思考に意識を全振りしていた時だった。
グラッと大きく揺れた船に、思わず体のバランスを崩す。
「!?何だ、!?」
「…Dの話はまた後日しよう。気候が変わった。リヴァースマウンテンに近づいてきている」
皆を起こすぞ、と言って部屋の中へ進むドラゴンさん。航海士はあの人が起こすだろうから、俺は力要員になりそうな人たちを起こすために船の中に足を向けた。
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れい!(プロフ) - 続き気になりますもう更新はしないのでしょうか? (2022年10月8日 18時) (レス) @page32 id: 9b5f9f849f (このIDを非表示/違反報告)
早桃 - こんにちは〜!凄く最高な作品で、一気に全部読んでしまいました!どんな感じで再開するんだろ?これからが楽しみです!自分のペースでのんびり更新頑張ってください!応援してます! (2022年8月14日 18時) (レス) @page29 id: 9d8dc0f18d (このIDを非表示/違反報告)
浅葱(プロフ) - こんばんは、夜分遅くに失礼します。主人公も、主人公とキャラクターの絡みも大好きです。1話から一気に読んでしまいました。本当に続きが楽しみです。更新待っています。 (2022年2月21日 2時) (レス) @page29 id: dce884b5b5 (このIDを非表示/違反報告)
雪林檎V2(プロフ) - 瑠璃アゲハさん» コメントと応援ありがとうございます!嬉しい限りです!再会シーンは私も早く書きたくてたまりません!!これからも引き続き読んでいただけたら嬉しいです! (2021年2月10日 1時) (レス) id: 0b7b2175db (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃アゲハ(プロフ) - こんにちは!いつも楽しませて頂いてます!続きが気になるばかり、再会が楽しみです!応援しています! (2021年2月9日 21時) (レス) id: b1b687d56b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雪林檎V2 | 作成日時:2021年2月9日 18時