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「「えぇ!?!!勘違い!?????」」
「あぁ。出身はフレバンスだが、俺は珀鉛病患者じゃない」
どうやら、二人は俺がアルビノだと言うことを知らなかったらしい。そういえばたしかに、この二人は最近入った新入りだ。知らなくても無理はない。
「じゃあ、あと4年って言うのは、」
「…あのメモか、」
「すみません、この間資料を回収した際に見えてしまって…」
「いや、乱雑に置いてた俺が悪い」
まぁ、別に隠すことでもないか。
「…フレバンスが滅んだ日、俺ともう一人、少年が逃げていた。あのメモは、その子が生きていて、珀鉛病を発症した場合の寿命と助かる確率を計算したモノだ」
「まだ生き残りがいたんですか!?」
今すぐにでも探しましょう!と立ち上がった男を手で制した。
「生きてる確率はゼロに近い。それに、もし生きていたとしても、保護したところで助からない」
「でも、4年あるんでしょう?!」
「…2年前の時点で発症した場合の話だ。長くても4年だが、彼の家族の進行具合と照らし合わせて考えたら、2年がいいところ…」
暗にもう死んでいることを伝えた。これで納得してくれればいいと思った。そして、自嘲気味に笑う。
…本当に納得したいのは俺のくせに。
「俺はただ、珀鉛病を治したい。今はもう患者はいないけど、あの時、俺は最前線で戦えなかった。だから、これはフレバンスへのせめてもの手向けだ」
「……Aさん…」
「ありがとう、二人とも。俺は珀鉛病が中毒だと知ってくれてるだけで嬉しいんだ。行動まで起こしてくれたことには素直に感謝する」
「そんな、!」
「大したことじゃないです!!」
「いや、ずっと勇気がいる行動だよ。……本当にありがとう」
目を伏せて、軽く頭を下げると、慌てたように二人は手を体の前で振った。
「やめてください!一兵隊に!!」
「そうです!あなた幹部の一人なんですよ?!」
「幹部であろうと俺も一兵隊だ。なにも変わらない」
頭を上げて、そういえばと思い出す。
「恥ずかしいことにお前ら二人の名前を俺は知らないんだ。悪いが教えてくれるか?」
「バニー・ジョーです。ジョーでいいですよ」
「俺はカール・エリク。エリクって呼んでください」
「あぁ。覚えておくよ。ジョーとエリクな」
また怪我したら来いよ、と言うと、二人は手伝えることはなんでも言ってくださいと言って部屋を出て行った。
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れい!(プロフ) - 続き気になりますもう更新はしないのでしょうか? (2022年10月8日 18時) (レス) @page32 id: 9b5f9f849f (このIDを非表示/違反報告)
早桃 - こんにちは〜!凄く最高な作品で、一気に全部読んでしまいました!どんな感じで再開するんだろ?これからが楽しみです!自分のペースでのんびり更新頑張ってください!応援してます! (2022年8月14日 18時) (レス) @page29 id: 9d8dc0f18d (このIDを非表示/違反報告)
浅葱(プロフ) - こんばんは、夜分遅くに失礼します。主人公も、主人公とキャラクターの絡みも大好きです。1話から一気に読んでしまいました。本当に続きが楽しみです。更新待っています。 (2022年2月21日 2時) (レス) @page29 id: dce884b5b5 (このIDを非表示/違反報告)
雪林檎V2(プロフ) - 瑠璃アゲハさん» コメントと応援ありがとうございます!嬉しい限りです!再会シーンは私も早く書きたくてたまりません!!これからも引き続き読んでいただけたら嬉しいです! (2021年2月10日 1時) (レス) id: 0b7b2175db (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃アゲハ(プロフ) - こんにちは!いつも楽しませて頂いてます!続きが気になるばかり、再会が楽しみです!応援しています! (2021年2月9日 21時) (レス) id: b1b687d56b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雪林檎V2 | 作成日時:2021年2月9日 18時