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ちょうど最後のゴミ袋を結んだところだった。急に部屋の扉が開いた。
「Aさん、ちょっといいですか」
もう少しで長い戦いが終わるところだったんだけどな、と内心で思いながら兵士の話を聞く。どうやら医務室に怪我人がいるらしい。そのまま、自室から医務室へと足を運ぶ。
「おい!呼んできたぞ!」
中にいたのはまだ若い男だった。包帯がそばに置いてあり、そこには血が滲んでいる。
…あぁ、そうだ。この間の島で怪我をしたと言っていた男だ。
「傷が開いたんだな、止血は自分で済ませたみたいだし包帯だけ変えとく」
「すみません、頼みます…」
棚から包帯を取り出して、傷口付近に当てていく。そこで、ふと頭によぎった疑問をぶつけた。
「しかし、何でまたこんな怪我したんだ?」
刃物でざっくり斬られたような傷。あの平和そうな街でそんな怪我を負うことなんかないと思うが…。
「…?どうした?」
そこまで重たい質問をしたつもりはない。のに、男達二人は、まごついて視線を彷徨かせた。
しばらく黙り込んだ後、怪我をした方の男が小さくこぼした。
「…俺たち、珀鉛病について調べてたんです」
「!!」
思わず、巻いていた手を止めた。ついでに手に力が篭って患部を握りしめてしまう。痛!!!と言われて慌てて誤った。
「悪い、」
「大丈夫っす……この前の島でも、医者に聞き込みに行ったんですけど、感染者と間違われてモノとか医療器具とか投げられて…」
それでこのザマです、と男は薄く笑った。
「……なんでわざわざ」
「Aさん、ずっと一人で闘ってるから…俺たちも力になりたくて」
「そしたら、もっと長く一緒に活動できると…」
「おい!!そんな言い方すんなよ!!」
「!わ、悪い…でも、Aさんが死ぬのはいやだ!」
そう言うなり、二人は黙って目に涙を浮かべた。
ちょっと待て。なんか話がおかしくないか、??
「……俺、死ぬのか?」
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れい!(プロフ) - 続き気になりますもう更新はしないのでしょうか? (2022年10月8日 18時) (レス) @page32 id: 9b5f9f849f (このIDを非表示/違反報告)
早桃 - こんにちは〜!凄く最高な作品で、一気に全部読んでしまいました!どんな感じで再開するんだろ?これからが楽しみです!自分のペースでのんびり更新頑張ってください!応援してます! (2022年8月14日 18時) (レス) @page29 id: 9d8dc0f18d (このIDを非表示/違反報告)
浅葱(プロフ) - こんばんは、夜分遅くに失礼します。主人公も、主人公とキャラクターの絡みも大好きです。1話から一気に読んでしまいました。本当に続きが楽しみです。更新待っています。 (2022年2月21日 2時) (レス) @page29 id: dce884b5b5 (このIDを非表示/違反報告)
雪林檎V2(プロフ) - 瑠璃アゲハさん» コメントと応援ありがとうございます!嬉しい限りです!再会シーンは私も早く書きたくてたまりません!!これからも引き続き読んでいただけたら嬉しいです! (2021年2月10日 1時) (レス) id: 0b7b2175db (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃アゲハ(プロフ) - こんにちは!いつも楽しませて頂いてます!続きが気になるばかり、再会が楽しみです!応援しています! (2021年2月9日 21時) (レス) id: b1b687d56b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雪林檎V2 | 作成日時:2021年2月9日 18時