ドラクエＸＩ 短編集*:.

＊一件落着？ ページ29

その後も幾度か危ない場面にあった。



しかし、何事もなく乗り切り、ついに夜になった。




この食事が終われば後は風呂に入るだけ。

ついに、今までの俺の苦労が報われる…

幸い、今に至るまで俺の失態に気づく者は誰一人いなかった。




ふぅと息を吐き、食事も終わりを迎える頃
さて、と席を立ち、続けた。






グレイグ「夜は冷えるし、風呂に入るか！」
　



マルティナ 「あらグレイグ、もうお風呂に入るの？
やけに早いのね」


グレイグ「今日の汚れは早めに洗い流さねばと思いましてな」


マルティナ 「ふぅん。珍しい事もあるのね」




その後も特に怪しげ無く、無事に風呂に入る事に成功した。

誰もいない脱衣所でパックリ大きく割れたズボンの裂け目を見る。
うーん、今まで俺はこんなに大きな爆弾を抱えながら今日一日を過ごしてきたのか。





我ながら良くやったと称賛を送る。
だが俺は詰めが甘かったようだ。
ズボンの裂け目という呪縛から解き放たれた俺は、そのままズボンを脱ぎ捨てたままにしてしまっていたのだ。




グレイグ「ふぅー…あぁ何といい湯だ。
しかし、まぁ、あんな事があるなんてな…
あのような情けない姿を皆に見られずに済んで良かった…」


安堵のため息が白く湯気と共に消える。
気をつかう1日だったが、結果的には誰にも気づかれずに事なきを得た。


　
今日一日の身体を洗い流し、俺はパンイチのまま風呂から出る。
女性陣がいる手前では堂々と振る舞えないが、野郎達の前だと遠慮なく居られる。






シルビア「あら、グレイグもうあがったのね。
…て、もう〜またそんな格好して！」





グレイグ「…お、おい…お前…な、何をしているんだ？」



シルビア「何って…お裁縫ちゃんよ？」



グレイグ「そ、それはまさか…」




ヤツが手にしているのは、まさしく俺の…
な、何故だ！？
完全にバレていないと思ってたのに、何故、ヤツにバレているのだ？！





シルビア「あぁ、これ？
結構大きめに破れちゃったのね。」


グレイグ「い、いつから気づいていた？！」


シルビア「さぁね〜
…あら？どうしたの？？」



グレイグ「頼むゴリアテ…皆には黙っていてくれないか」



シルビア「……ふふ、安心なさい！
アタシ以外に気づいた人はいないようだから。
アタシも、見なかった事にするわ。」




グレイグ「ゴリアテ …」



あぁ、お前はなんといい奴なのだ…

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