ヌナを癒す会、始めました 4【SVT】

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JH side




腕の傷。深く切ったらしいその傷跡に顔が歪んだ。

当の本人は枝で切ったと言うが。その日、俺達の事務所で捕まったと言われるサセンに、なんとなく察しがつく。このお人好し。バカ。

心の中で悪態をつきながらもAの背中に抱きついた。




『ん？どした？』




すっとぼけんな馬鹿と言いたくなる。

なんでもねーよって言って、またゲームをしてるAの肩に頭を沈めた。





この匂いも声も背中も、やっぱり落ち着く。


もう見慣れたこの光景は、俺にとってはすごく大事なものだ。

二の腕より下に巻いてぐるぐるとある包帯に目がいく。この傷が治るまではAはダンスもできないらしい。かろうじてテレビに出たり歌を歌ったりすることはできるけど。

やっぱり練習室にAが居ないのは寂しくて。

わかるけど。傷が開くからやっちゃいけないのは分かるけど、せめて見て欲しい。





あの時帰った俺は、かなり罪悪感で。

もうちょっとくらい待ってやればよかった、と思って涙が出そうになる。




こんなに細くて白い腕に、刃物でも刺さったのだろうか。




痛かったくせに。

帰ってきた時、泣いてたくせに。





『そうだ、そこにいるのなら！』

「…んだよ。」




突然呼ばれて慌ててそう返事をする。

振り向いてふにゃっと笑ったAに、心臓が静かく波を打つ。









『一緒にゲームしようよ、ジョンハン！』








俺の恋は実ることがあるのか。

この先の人生、Aを守る存在に俺はなれるのか。






悩んでる自分が馬鹿馬鹿しくて、ゲーム機を手に取った。

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