ゆるらりるりらゆるゆりら。【幽幻ロマンチカ】

桜が4輪 ページ5

《千世side》

⁇「逃げないの？」

千世「逃げたって無駄だろ？」

⁇「よくわかったね」

せめてこの荷物を家に届けたい

千世「1回だけ家に帰してくれたりしない…よな」

⁇「帰らなきゃいけないの？」

千世「え、声に出てた？」

⁇「すんごい出てた」

無意識ってすごい

⁇「家に帰る方法ならあるよ？無理だと思うけど」

千世「あんの⁉」

⁇「私の機嫌をよくする」

無理な気がする

千世「どうしたら機嫌よくなるのさ…」

⁇「えっとね、今はマカロンが食べたい」

千世「んなこと言われたってな…」

マカロンなんて持ってない…

ん？

千世「ちょっと待て」

⁇「？うん」

コンビニ袋をあさる

あった

⁇「マカロン！」

千世「めっちゃ目輝いてんだけど…」

⁇「ね、ね！それくれるの⁉」

明日のおやつ用に買ってきたのだが

まぁいいか

千世「いいよ。あげる」

⁇「やったぁ！いただきますっ！」

もこもこマカロンを頬張ってる

千世「機嫌良くなった？」

⁇「うん！」

千世「じゃ、帰っていい？」

⁇「ちょっと待って！願い事を言ってから帰って！」

千世「願い事…？」

⁇「うん！私いま機嫌いいからなんでも叶えられるよ！」

そんなことまで出来んのかよ…

じゃあ

絶対無理な願いを叶えてもらおうか

千世「俺の妹ってさ、病気になりやすいんだよ」

⁇「え…そうなの…？」

千世「だからさ、俺の妹を普通の身体にしてやってくれない？」

他の同い年の子みたいに

遊んだり

勉強したり

笑ったり

そんな簡単に出来ることが

妹には出来ないから

⁇「…妹思い、なんだね」

千世「できる？」

⁇「出来るよ。出来なかったとしても、やる」

正直驚いた

やるなんて絶対言わないと思ったから

千世「期待してるよ…そういえば、名前なんていうの？」

⁇「名前？」

千世「そう。聞いてなかった」

⁇「じゃあ…姫って呼んで？他の人達はそう呼ぶ」

千世「了解、姫ね。じゃあ、そろそろ帰る」

姫「うん、願い叶えるって約束するから。…またきてね」

帰り際に姫が

花のように笑った

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