1話 ｢森｣ side 主人公 ページ2
気がつけば、私は暗い森の中に佇んでいた。
視界いっぱいに広がる緑。
四方八方を似たような巨木が覆い、鬱蒼としげる葉が陽の光を遮っていた。
湿った落ち葉のにおい、時折聞こえるオオハシの鳴き声、じめじめとした蒸し暑さ。
そのどれもが不気味で、「何故こんな所に」という疑問よりも、「怖い」という恐怖の方が大きかった。
汗で首にへばりつく髪が気持ち悪い。
無造作に後方へ払い流した際、触れた指先はひどく冷たかった。
その時、ふとポケットの中で何かがカタカタと揺れた。
はっ、として取り出してみると、思った通り、それは一昨年の誕生日に父から貰ったアニマル匣。
知り合いの科学者に頼み込んで作ってもらったという、私専用のこの世に一つだけの匣だ。
右手の中指に嵌めていたリングに炎を灯し、挿入する。
勢いよく開いた匣からは黒に近い灰色の体毛を持った狼が出てきた。
『マティ！』
ほぼ無意識に狼の名を呼び両腕を広げる。
4本の足で立っていてもなお、体長が1m40cmあるマティ。
飛びかかることはせず、そっと歩み寄って顔を擦り付けるこの子は本当に優しくて賢い。
ふわふわと柔らかい毛と優しい温もりに強ばっていた私の身体は徐々に解されていった。
『マティ…ここ、どこだと思う？私、お父様に会いたい……家に帰りたいわ…』
目の奥がツンと痛み、次いでじわじわと涙が溢れた。
マティの首に抱きつき顔を埋めても彼は何も言わずに受け入れてくれた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 187人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ONEPIECE」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ルナ(プロフ) - シンアさん» え、あっ、そんな！ありがとうございますぅぅぅぅ!!((こんな不定期更新で脈絡も不安定で……ありがとうございます！励みになります！！ (2019年2月19日 23時) (
レス) id: 93265dbe28 (このIDを非表示/違反報告)
シンア - 続き気になります(*⌒▽⌒*)更新楽しみにしてます(*⌒▽⌒*) (2019年2月19日 22時) (レス) id: 3e537abb72 (このIDを非表示/違反報告)
ルナ(プロフ) - SNoさん» コメントありがとうございます！地道に修正中です（笑）更新も構成も頑張ります！ (2019年1月9日 17時) (レス) id: e24e213480 (このIDを非表示/違反報告)
SNo(プロフ) - 面白いです！！続き待ってます！！ (2019年1月9日 16時) (レス) id: 895f2220ac (このIDを非表示/違反報告)
ルナ(プロフ) - みきさん» コメントありがとうございます。スッゴク更新したい気持ちはあります！でも作る度にバックアップ取ってたはずなのに消えるのです……(言い訳にしかならない)でも観念します！更新再開します！！ちょっとだけお待ちくださいませ！ (2018年10月25日 20時) (レス) id: 556565f04c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ルナ | 作者ホームページ：出来たらいいなぁ〜♪
作成日時：2018年5月5日 15時
