2．散歩 ページ2
「良い天気だね、晴れてて良かった。」
「うん、ありがとう、きりやん君。私のために、時間を割いてくれて…。」
「そんなこと言わないの。オレがAと一緒に居たくてやってるんだから。」
きりやん君は優しく微笑むと私の頭を撫でてくれる。きりやん君に頭を撫でられると安心する。いつもきりやん君は、私が不安になると頭を撫でてくれる。なんてことないその行動だけど、それだけで私の不安は晴れる。
「…優しいね、きりやん君は。」
「どうしたの、急に。オレが優しいのはいつものことでしょ。」
「あはは、それもそうだね。」
桜の舞う中庭を二人で並んで歩く。本当に体調が悪いと、立つのもままならないから今日は大分調子が良い。
「大丈夫？疲れてない？」
「うん、平気だよ。」
「…今度さ、体調の良い日が続けば外出許可とってみようか。Aも、たまには病院から出たいでしょ？」
病院から…。確かに、社会復帰するためには病院の外のことも知らないといけないけど…私は、きりやん君さえいてくれればそれでいいんだけどな…。そう思っても、優しく微笑むきりやん君を見ると、口には出せない。
「…そう、だね。」
私は小学校も中学校も通っていない。…と言うより、通えなかった。一日二日登校できても、すぐに体調を壊してしまう。仲良くしてくれた子も、次に登校したらもう話してくれなくて。友達の輪に入って、外で遊ぶことも出来なかった。…だから、友達を作るのは諦めた。その内、学校に通うのも難しくなって、私は殆ど、病院から出ることはなくなった。
その代わり、親が優秀な家庭教師を雇ってくれた。家庭、ではなく病院ではあるけど、家庭教師さんのお陰で義務教育くらいの知識はあった。…逆に言うと、義務教育くらいの知識しかないんだけど。
きりやん君は私と違ってかなり優秀で。元々病院の跡取りだから、昔から厳しく教育されていたみたいだけど、それを除いてもきりやん君は頭が良かった。小学生の頃からテストは満点が当たり前。小学生らしく遊ぶこともあまりなかったらしい。
そんなきりやん君が変わったのは私が理由だと、きりやん君のお父さんにきいた。私からすればきりやん君の夢を邪魔したくないという思いでいっぱいだったんだけど…。
『Aちゃんのお陰で、きりやんは明るくなったんだ。ありがとう、きりやんと友達になって、一緒に遊んでくれて。』
そう言われたことが、今でも印象に残っている。
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さくらもち@実況者にハマり中(プロフ) - よしちゃんさん» ありがとうございます…！まだ四人分しか完成してないのですが、私の小説でキュンキュンしていただけのなら幸いです！ (2022年1月3日 9時) (
レス) id: e24fa9aac3 (このIDを非表示/違反報告)
よしちゃん - やばい､､､！読んでる間に何回キュンキュンしたことか､､､どの作品も最高ですっ！ちょっとknさんの話から全て読み直してきますねε=ε=ε=ε=ε=ε=┌(^♢^)┘ (2022年1月3日 8時) (レス) @page16 id: 752f2b57a5 (このIDを非表示/違反報告)
さくらもち@実況者にハマり中(プロフ) - つゆさん» kirさんは割りとすぐ決まりましたね…！コメント励みになるのでとっても嬉しいです…！5作目も頑張ります！ (2021年12月30日 9時) (レス) id: e24fa9aac3 (このIDを非表示/違反報告)
つゆ - krさんバージョンきた…！やっぱkrさんの医者いいっすね〜今回も素敵な作品ありがとうございました！5人目も楽しみにしてます！頑張ってください！ (2021年12月29日 22時) (レス) @page16 id: 5d979c15e9 (このIDを非表示/違反報告)
さくらもち@実況者にハマり中(プロフ) - もみじさん» ありがとうございます！カフェは私のWTさん初作品なのでそう言っていただけて嬉しいです〜！私はFAで見かけたESCAPEの動画が面白くて本家を見に行った記憶があります！ついに本買えたんですね！おめでとうございます！ (2021年12月29日 21時) (レス) id: e24fa9aac3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さくらもち
| 作成日時：2021年12月28日 2時
