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このまま…キス…?

いいわけない。

いや、でも付き合ってるんだし…いい…のかな…。

でも…。

頭の中でぐるぐる考えてる内に、薮はしびれを切らしたのか…。

「あー…もう…。伊野尾遅い、キスする。」

「は?」

まだ理解の追い付かない俺を無視して、薮の唇と俺の唇が重なる感覚。

キスされてるって気づくには充分すぎた。

唇が離れてからも暫くは動けなくて。

意識が引き戻されたのは5限開始のチャイムだった。

「…あ、授業…。」

「…もう間に合わないから遅刻確定だな。」

キスした後の第一声がそれかよって言われそうだけど、恥ずかしさでいっぱいの俺はそれどころじゃなかった。

「…どーする?5限目。」

「え?どうするって…。」

てっきり俺は普通に出るんだと思ってたんだけど…。

「…俺は伊野尾と一緒にならサボってもいいけど。」

「…生徒会長様が?」

「お前な…。」

はぁ、とため息をついた薮は頭を掻く。

「ほんっとにムードも何もねぇな。まあいいや、教室戻るか。」

歩き出した薮を追って、後ろを歩く。

「…伊野尾、後ろじゃなくて隣来ない?」

「え?」

「後ろじゃ伊野尾が見えないから。」

…何だろう、不覚にもキュンとした。

これが付き合う…ってことなのかな。

まだわかんないことばっかりだけど…薮と一緒に知っていけたらいいなぁ…。

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作者名:さくらもち | 作成日時:2017年8月14日 1時

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