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｢…。｣
｢せめてなんか言ってくんない？｣
HR前、放送で生徒会室に呼び出された俺は薮と一対一で会っていた。
｢…まあ、まずは体育祭の結果だけど…黄軍が優勝っていう…。｣
｢えっ！？｣
まさかの黄軍…！？
薮にお願いことをきかせられないのは残念だけど、でも�睫擇班佞�合わなくて済むのは正直ありがたい。
てゆーか黄軍って…。
｢大ちゃんのとこか…。｣
｢そうなるな。黄軍の生徒には伊野尾を好きにできる券を渡すから、その券を確認してからお願い事をきく。注意事項は以上。何か質問は？｣
｢特にないけど…。｣
｢そう。じゃあここからは個人的な話な？｣
薮は手に持っていた資料を机に置くと、俺を真正面から見つめる。
｢な、何…？｣
｢…ごめん。｣
｢…え？｣
何で謝るの…？
｢絶対勝つって言ったのに…。｣
｢で、でも薮のせいじゃないよ！どこが優勝しても可笑しくなかったんだし…それに、俺は大丈夫だよ？｣
｢…ほんとに？｣
心を見透かされたような気がした。
…ほんとは大丈夫じゃ、ない。
｢…可愛いよ、伊野尾。｣
｢えっ…？｣
今、可愛いって…？
｢可愛い。｣
｢っ…！｣
な、何急に？
わけわかんないよ…！？
｢…体育祭で優勝したら、本気で伊野尾と付き合うつもりだったんだけど負けちゃったから。…だから、誰かのものになる前に俺のものにしちゃおうかと。もう実力行使で。｣
体育祭のルールガン無視！？
｢なっ…！そんなこと、言われても…。｣
急すぎて全然理解できない。
薮は椅子から立ち上がると、どんどん俺との距離を縮めてくる。
そんなの当然、逃げ道はなくなるわけで。
｢…さて、どうする？｣
トン、と壁に手をつかれて所謂壁ドン状態。
｢ず、ずるいよそんなの…。｣
｢ずるい？俺は正々堂々告白してるだけだよ？｣
｢でも…。｣
｢嫌なんだよ。伊野尾が他のやつとデートしたりハグしたりするの。見るのも嫌だ。だから、俺のものに…。｣
そこまで言いかけたとき、生徒会室のドアが開かれた。
｢ダメだよ薮君。ルールは絶対、なんだから。｣
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作者名：さくらもち
| 作成日時：2017年8月14日 1時
