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喋るだけ喋って、知念は手を振りながらいなくなってしまった。
…一体なんだったんだ…。
その後、教室に戻ってお弁当を食べる。
今日は皆忙しいからって各々で食べることにした。
…最近、昼食の時間が気まずすぎたからありがたかった。
と言っても、俺と�睫擇般�の関係が原因なんだけど…大ちゃんと光には凄く申し訳ない。
いや、何度も一人で食べようと思ったけどその度に薮に見つけられるんだもん…。
ならもう一緒に食べるしかないかなって…。
そんなわけで久しぶりの穏やかな昼食だった。
食べ終わって大ちゃんは着替えてくる、と更衣室へ。
着替え終わったらそのままグラウンド行くって言ってたから待たなくていいよね。
さて…どうしようか。
まだ午後の競技までは時間があるし、外に行くのも嫌だし…でも教室は応援団の人達がいろいろ使うから居たら邪魔だよね…。
そこで俺は良い場所を思い出した。
あそこなら…多分今日は人いないよな？
思った通り、そこに近づくにつれて人気がなくなっていく。
そりゃそうだ、体育祭で使う必要のない場所だし。
｢…うん、人はいないな。｣
一応人がいるかないか確認して、その場所へと足を踏み入れる。
｢…伊野尾？｣
｢へあっ！？え…？薮…？｣
突然現れた薮に驚き、変な声を上げてしまう。
あれ、さっきまでいた…？
…あ、ちょうど死角になってるのか…。
まずいぞ、これは非常にまずいし気まずい。
最近の昼食じゃあ言葉を交わすどころか目も会わせてなかったのに何を話せと。
いや、別に話す必要はないんだけど…。
｢…伊野尾、午後からも頑張るから応援よろしく。｣
｢え…。｣
薮はそれだけ言うと、校舎内へと戻っていった。
───そう、俺が訪れたのは裏庭だった。
それにしても、なんとも薮らしくない言葉だったような気がする。
｢それはそうと…薮、何で学ランだったのかな。｣
…似合ってたし…。
｢かっこよかった、なぁ…。｣
…何言ってんだろ、俺。
悔しいから、薮には絶対言ってやんないけど。
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作者名：さくらもち
| 作成日時：2017年8月14日 1時
