448、親子の縁 ページ27
「な…なんですって?」
流石にこんな言葉は予想してなかったのか、お義母様は驚きの声を漏らし、お義父様も驚きの表情を隠せていない。
お義姉様も顔をこわばらせている。
「A…その顔、本気なんだな?」
『ええ。本気で、親子の縁を切るつもりです。…まあ、今は法律上血縁関係のある親子は縁を切れないそうですね。…しかし、私達は血縁関係のない親子です。…さて、血縁関係のない親子は…縁が切れるんでしょうか?』
相当なプレッシャーに押しつぶされそうだったけど、私はなんとか笑顔で貫き通した。
…さあ、どうくる?
…流石に言い過ぎたかな?
けど、これくらい言わないときっとこの人達には届かないから。
そう、わかっているから。
「…立場上、認めることなどできないとわかっているだろう?」
『…えぇ、でしょうね。』
「…。」
お義父様は深くて重いため息をつく。
わかっている。
お義父様は今、わざと“立場上”とつけたんだ。
わざと、“立場上”を強調したんだ。
「…お前の…Aの親として言わせてもらう。…Aはずっと、なんのわがままも言わず、とても良い子に育ってくれた。私達の望む人生を築いて…。そんなAが、はじめてわがままを言ってくれた。」
「私達、少し不安だったの。何もわがままを言ってくれないってことは…私達をまだ親だと認めてくれてないってことなのかしらって。…だから、今Aがこうやってわがままを言ってくれたこと…すごく嬉しいわ。」
『え…。』
…単純に、嬉しかったし安堵した。
『お義父様、お義母様…。』
「…A。私達はいつだって、何があったってAの味方よ。」
『お義姉様…。』
…どうして、こんな私にここまで優しくしてくれるんだろう…。
「A、私達は家族よ。血の繋がりがなくても、家族なの。」
「行きなさい、A。…待たせているんだろう?涼介を。」
…うん…そうだ。
家族だ。
血の繋がりがあるかないかなんて関係ない。
…私達は、家族なんだ。
気付いたら、涙が頬をつたってた。
『…ありがとう、ございます…!』
私は思いっきり頭をさげて、走り出した。
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作者名:さくらもち | 作成日時:2017年5月10日 18時