444、伊野尾 慧 ページ23
「もしかして俺と付き合ってくれる気になった？」
第一声がそれってどうなんだろう。
『残念ながらそういうわけではないんだけど。』
「うん、ごめんね。知ってるよ。知念から連絡来てたから。…でもそこまでバッサリ言われると思わなかったな…。」
でしょうね。
もう驚かないよ。
「でも割と本気で申し訳ないと思ってるんだ。俺が時間調整出来なかったせいで、大学まで赴かせちゃったわけだし。」
伊野尾君、ちぃちゃんから連絡が来たのはいいんだけど…今日に限って講義入りまくってて…。
今もなんとか時間作ってくれたみたいで…むしろ私が申し訳ないよ…。
でも一度伊野尾君大学生してる姿見たかったし…ある意味丁度良かったかも？
『どっちかっていうと私がごめんなんだけど…。…まあ、ある意味伊野尾君との思い出の場所っちゃあ思い出の場所だし…。』
「悪い意味で、ね。」
『そんなに卑下しないでよ〜…。』
確かに良い思い出とは言い難いけど…肯定もしづらい…！
私の言葉に伊野尾君はやっと微笑んでくれて。
「ごめんごめん。知念の連絡で知ったんだけど、明日誕生日なんだってね。まあ、Aちゃんにとっては決戦前夜、って感じなのかな？」
『あながち間違いではないかなぁ。こうやって皆のところを回ってパワーを分けてもらおうかな、と。ちぃちゃんにおすすめされたんですけど。』
「ドラ○ンボールかなんかなの？」
会話は割と弾んでるけど、これ全く真剣な話にならないな…。
「…ふざけるのはこれくらいにしとこうか。俺は応援してるよ？てか、振られたんだから幸せになってもらわないとそこは俺が可哀想。」
『でも涼介に振られたら伊野尾君と付き合う可能性もワンチャン。』
「おっ、あるの？」
『…。』
思わず黙る。
「ないんだね。」
察しがよすぎるな…。
…というか、伊野尾君…ふざけるのはこれくらいにしとこうかって言いつつその直後もふざけたよね。
でも、伊野尾君なりに応援してくれてるんだよね。
こういう真面目なの、慣れてなさそうだもんなぁ。
「とにかくさ、お願いだから幸せになってよ？マジで、頑張ってよ？A。」
…伊野尾君は最後まで伊野尾君だなぁ。
普通、このタイミングで呼び捨てにする？
『うん、伊野尾君の分も幸せになるね。』
「いや俺もまだ幸せになる余地はあるから。」
最後までふざけ倒しちゃったけどこれでいいん…だよね？
次は…専属運転手様だね。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 74人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：さくらもち
| 作成日時：2017年5月10日 18時
