436、誕生日までは ページ15
「…つまり、まだご両親の許しは得てないんだ?」
『…うん。お義父さんとお義母さん…あとお姉さんも、私の誕生日に私と健人さんが結婚す置く。ると思ってる。それで、私は誕生日に全部打ち明けようと思ってるの。』
「…Aちゃん、本当に覚悟を決めてるんだね。」
「一世一代、って感じだね…。」
『それくらいの覚悟は必要だと思うの…。』
親が決めた婚約を取り消す…それだけでも申し訳ないことをしてるのに…。
結婚したい人は何の権力もない…しかも立場上結ばれてはいけない人だ。
「…何か、現代版ロミオとジュリエットみたい…!」
『…なんでテンション上がってるの、麗ちゃん。』
「だって、だって、そういうのって女の子の憧れじゃない!?」
憧れ、かぁ…。
昔は憧れとかあったけど…。
今は…。
「憧れより不安の方が大きい、かなぁ…。」
苦笑混じりに呟いた。
「Aちゃんは当事者だもんね。私達みたいに外から見てる人達にはわからないし。」
「そういう意味では涼介君も当事者だもんね。」
椿と莉乃ちゃんに、慰められるみたいに肩に手を置かれた。
『え、何で私、慰められてるみたいになってるの…?』
「…大変だなぁって。普通、Aの…私達の年代って、好きなように恋して、青春するじゃん?でも、恋すら制限されるなんて…。それに、今まで生きてきてそんなこと考えたこともなかったし。」
その言葉でハッとさせられた。
そっか、私、普通じゃないんだ…。
今更気づいたその事実。
でも、なんだか突き放された気がして…少し、悲しかった。
「…でもね。」
椿はふわりと私の両手を握る。
「私はAのこと一番よく知ってる。誰よりも優しくて、可愛くて、努力してて…。だから、大丈夫。」
何の根拠もない言葉。
…ううん、違う。
椿が、保証してくれた。
それでも、これだけで救われた気がするんだから、椿はすごい。
「ちょっと待って!私だってAちゃんのこと知ってるよ!?」
「わ、私だって…!二人には、負けるかもしれないけど…!」
莉乃ちゃんと麗ちゃんも椿の手の上から手を握る。
『…うん、ありがとう。椿、莉乃、麗ちゃん。』
こんなに素敵な親友が三人もいることを誇りに思った。
…ただ、家に帰ってから気づいた。
結局、相談の答えもらってなくない!?
なんか上手く誤魔化された気分…!
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作者名:さくらもち | 作成日時:2017年5月10日 18時