【WT】白尾学園のお姫様【悪女主】 (ページ15)

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お姫様と三度目の仕掛けページ15

「吉祥寺サン、ちょっといい？」

放課後になるなりカルアちゃんは吉祥寺愛海を呼び止める。

「な、なんですか？」

「Aに渡したクッキー、くるみ入れてたでしょ。」

「はぁ？なんのこと言って…。」

「くるみってわからないくらい細かく砕いてクッキーに入れたみたいだけど…カルア味覚が鋭いからさぁ、わかっちゃうんだよね。知らないみたいだから教えてあげるけど、Aはくるみアレルギーなんだよ？呼吸困難で済んだから良かったけど、アナフィラキシーショックとか起こしてたらどうするつもりだったの？吉祥寺サン、一歩間違えたら人殺しだったんだよ？」

冷静な口調でカルアちゃんに責め立てられて、吉祥寺愛海の表情がどんどん歪んでいく。あ〜それそれ、その顔が見たかった。

「そ、そんなの知らないし！アタシはただクッキーを作っただけ…！」

「知らない？知らないならなんでわざわざわからないようにくるみを細かく砕いたの？そもそもAはクッキーが嫌いなのにそれを渡すあたりからAに対しての嫌がらせだよね？」

「〜っ、知らないってば！勝手な言いがかりやめてよね！」

そう言って吉祥寺愛海は教室を出ていったけど、放課後になるなりカルアちゃんが吉祥寺愛海を責め立ててくれたから、クラスメイトは吉祥寺愛海に悪印象を抱いただろうなぁ。

「A、今日部活できるの？大丈夫？」

きりやん君やきんとき君は本気で心配してるみたいだけど、演技だから大丈夫なんだよなぁ。

「大丈夫だよ。部室行こうか。」

部室で私はきりやん君、きんとき君、シャークん君にネタばらしすることにした。

「三人共私のこと本気で心配してくれてるみたいだけどさ、あれ演技だからね？」

「へ？」

「え。」

「そうなの…？」

「学校裏サイトに降流夜Aの嘘情報を流したの。“降流夜Aはくるみ入のクッキーが苦手、降流夜Aへの嫌がらせとしてうってつけ”って文章を書き込んでおいた。吉祥寺さんが裏サイトを見てれば、その情報に乗らないわけがないと思って。案の定くるみ入りのクッキーを作ってきたから、一芝居うっただけだよ〜。」

「心配したのによ〜、A演技力高すぎんだよ…。」

「マージで焦ったんだけど…。」

「…俺らの寿命が縮むからやめてくれ…。」

安堵のため息を漏らすきりやん君ときんとき君とシャークん君を見て申し訳なくなった。でも、不謹慎だけど本当に皆に愛されてるなぁって嬉しくなった。