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「好きだよ、滅。何があっても、私は滅が好き。だから、大丈夫」
「A。きっと俺は、お前が愛しい」
合格。きっと、なんて副詞がついていたって、以前に比べれば格段の進展だ。抱擁の力を強めて、甘えるようにすりよって、過分すぎるまでのシアワセと温もりを享受する。
暫し感慨に浸り、そして顔を上げて悪戯に微笑む。
「あのね、私だって本当は閉じ込めちゃいたいよ。私以外誰も知らない場所に攫って、二人だけでずっと居たい」
人類滅亡という目標からも、アークからもゼロワンからも逃げて、安全な場所でずっと。それができたら、どれだけ幸せだろう、と思う。
「けどきっと、私はそれをしないの」
「どうしてそう言い切れる」
「好きすぎるから。私は滅の夢を、自由を邪魔したくない」
しないというより、できない、の方が正しいかもしれない。逆に、滅はその限りじゃないだろう。
「もし、また危機に陥ったら。離れようとするなら。俺は、きっとAの自由を奪う」
「やだけど、いいよ。滅がそれで安心できるなら、滅が無茶しないって約束してくれるなら」
「……悪い」
「いいんだよ。私の全部は滅のためにあるんだから」
ずっと囚われているのも、それはそれで本望だ。結局、滅が居てくれるなら、どんな環境だっていい。私の隣に帰ってきてくれるなら、なんだっていい。
だから、アークには気をつけて、と二人だけの秘密の通信で告げる。
今回の作戦、私が九割の確率で破壊される、というのは奴の吐いた巧妙な嘘である可能性がある。滅のカンジョウの程度を調べ、利用しようという悪意と狡猾さに満ちた虚偽。カンジョウをシュミレーションに組み込めるよう進化することで飛電或人の行動も読めたら、それに乗じて飛電或人を破れたら、という意図も見える。もし全てが上手くいっていたら、一石二鳥どころじゃなかっただろう。今回は失敗してしまったが、とはいえアークはやはり侮れない。
了解という意味の込められた返事を受け取り、やっと腕を解く。邪魔な布を雑に下げて、顕になった白い首筋へ触れるだけのキスを贈る。跡なんてつかないのがヒューマギアの悲しき性質だ。
「愛してるよ、滅」
貴方と未来を生きていくために、どんな悪あがきだってしてみせる。
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深月(プロフ) - 横峯俊さん» お久しぶりです、まだ見てくださっていたのですね……！励みになります、ありがとうございます (2021年7月23日 9時) (
レス) id: 48437a73d0 (このIDを非表示/違反報告)
横峯俊(プロフ) - いつも拝見させていただいてます。いつまでも、更新は待っています！ (2021年7月20日 18時) (レス) id: e7388357bf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：水記 | 作成日時：2020年8月13日 20時
