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そうして暫く、美術品でも鑑賞するみたいに、任務に戻った滅の横顔を眺めていた。
「──こんな所にいたのか」
「あ、グラファイト！」
セキュリティシステムに引っかからない闖入者など、バグスター以外にありえない。データが組み上げられて見慣れた男の姿を取る。民族衣装の裾がひらりと揺れて、鮮やかに目を奪った。
にこにこと満面の笑みで両手を広げ抱きつきにいく。易々と受け止めて片腕で抱き返すグラファイトに益々機嫌を良くして、力を強めた。
「Aが世話になったな」
「いつものことだ」
分かりやすく甘えるAに、滅は少し意外そうな顔をしていた。マイペースな一面を見せてることはあれど、どちらかと言えば冷静なタイプだと思っていたのである。実のところそれは間違いでもなく、単純にAが様々な面を持つバグスターであっただけだ。
「何、お迎え？」
「ああ。パラドの招集だ」
「了解。じゃあね、滅」
「滅亡迅雷.netはいつでもお前を歓迎する」
「冗談。また生きて会いましょう」
懲りない勧誘を軽くあしらって、片手を振って瞬間移動した。
「いつもあんな感じなのか、あいつは」
「多分」
「随分気にいられているんだな」
「滅にっていうより、その先のアークっていう人工知能に、かな。バグスターのことを知りたがってる」
「……おい、大丈夫なのか、それは」
「んー、ちょっと危ないかな」
万が一捕まってもワープで逃げられればいいが、それを防ぐ策を編み出されたら一巻の終わりだ。奴に手出しされないためには、データを取られちゃいけない。先程のワープの際も一応、周囲からのあの部屋へのアクセスを一時的に遮断させてもらった。
「なら何故わざわざ乗り込むような真似を……」
「滅が心配だから。アークの傀儡だけど、彼自身は綺麗で純粋なんだ」
「身を危険に晒してまでか？」
「奴が本気になる前には引くつもりかな。安心して、深入りする気は無い」
「……ならいいが」
時に非情な判断も下せるバグスターであることを知っているグラファイトは、渋々引き下がる。これ以上の追及は彼女への不信と看做されかねない。
「心配してくれてありがとう」
「……俺の知らん所で、あまり無茶をするな」
「うん、気をつける」
いつぞやと同じ返事、しかしそれよりずっと真剣な声色に、瞠目しながらも強く安堵した。
夜が更けてゆくこれからが、眠らないバグスターたちの時間だ。
桐矢京介/Where You Belong→←滅, グラファイト/Midnight Neighbor/リクエスト
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深月(プロフ) - 横峯俊さん» お久しぶりです、まだ見てくださっていたのですね……！励みになります、ありがとうございます (2021年7月23日 9時) (
レス) id: 48437a73d0 (このIDを非表示/違反報告)
横峯俊(プロフ) - いつも拝見させていただいてます。いつまでも、更新は待っています！ (2021年7月20日 18時) (レス) id: e7388357bf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：水記 | 作成日時：2020年8月13日 20時
