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人間にはもっと深くを求めるキスがあるらしいけれど、口腔に感覚センサーを持たず快楽を拾うことが出来ない私達には無念にも不可能だった。
「大丈夫。滅は大丈夫だよ」
白い人工皮膚の滑らかな頬に手を添えて、少し背伸びして額を合わせる。ダークブラウンの双眸と、私の青みがかったブラックの双眸とが交錯して離れなかった。瞬きを必要としない体はやはり便利だ。一時も離したくない、ずっとこのままで居られたら、だなんて馬鹿なことを夢想する程、目の前のかれがいとおしい。
ふと、前触れもなく滅が私へと右手を向ける。耳に掛る黒髪を慣れた動作で掻き上げると、顕になった紅の閃光へ流れるように唇を寄せた。冷たく無機質な私の一部、そこに感覚は存在しないのに、なぜだろう、身体が温かいのは。
分からないまま、何か分かるだろうかと両手を滅のヘアバンドへ伸ばした。想定内だったのだろうか、思いのほか抵抗はされない。見透かされているようで少々複雑だ。上へ髪を巻き込まぬよう丁寧に引いて、外れたところを無造作に放る。それは音なく落下し、押さえを失った金糸ははらりと左右に広がった。ひび割れた皮膚と紫電は他のどんなひかりよりもうつくしく私を魅了する。
「滅のひかりは綺麗だね」
「そうか」
幽かに笑って滅が瞳を閉じる。細かに均等に並ぶ長い睫毛と高い鼻梁、造形の美しさが殊更に強調され目を奪う。血液代わりのエネルギーを循環させるポンプが激しく鼓動しているような、上がる筈のない体温が数度上昇しているような錯覚に振り回され、熱が暴走する。
目を伏せて、軽く口付けて直ぐに離れる。神聖なそれにずっと触れていては、穢してしまいそうで怖かった。
「滅」
「ああ」
「好きだよ」
「とうに知っている」
「あいしてる」
「……そうか」
私が与えられるものは多くない。だからせめて、その全てを与えられたらと願う。
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茜(プロフ) - 深月さん» アッ…とても光栄です…ありがとうございます……！ (2020年5月18日 18時) (
レス) id: 085524ccf4 (このIDを非表示/違反報告)
深月(プロフ) - 茜さん» と思ったら先日拝見した作品の作者様でしたか……!!ここで言うのも妙な話ですが、タイトルのセンスも作風もとても素敵で楽しませていただきました。ささやかながら、私も応援しております！ (2020年5月18日 18時) (レス) id: 48437a73d0 (このIDを非表示/違反報告)
深月(プロフ) - 茜さん» コメントありがとうございます！分かってくださる方がいて嬉しいです!!振り回される大我先生はかわいいという謎の確信。今後もどうぞよろしくお願いしますm(*_ _)m (2020年5月18日 18時) (レス) id: 48437a73d0 (このIDを非表示/違反報告)
茜(プロフ) - イケメン女子と花家大我良いですね…大我をウサギちゃん扱い…好き過ぎます…。これからも応援しています…！ (2020年5月18日 17時) (レス) id: 085524ccf4 (このIDを非表示/違反報告)
深月(プロフ) - supedoinさん» 通知こなくて気づくの遅くなりましたすみません!!萌えを提供できたようで何よりです(*^^*) (2020年5月17日 14時) (レス) id: 48437a73d0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：水記 | 作成日時：2020年1月26日 21時
